那覇市の大典寺で23日に開かれた「積徳高等女学校戦没者追悼法要」に、同校の元学徒を描いた映画「ふじ学徒隊」(2012年)を制作した海燕社(豊見城市)の社長、城間あさみさん(55)が参列し、手を合わせた。5月に亡くなった監督の野村岳也さんの思いを継ぎ「沖縄戦の体験を継承するために映画の力を生かしていきたい」と話す。(社会部・城間有)

積徳高等女学校戦没者追悼法要に参列した城間あさみさん=23日、那覇市松山の大典寺

 今年の法要に参列した11人のうち、学徒は真喜志光子さん(94)だけだった。映画の冒頭シーンに出てくる2011年の法要は満席。城間さんは「ますます継承が課題になってきた」と焦燥感をにじませる。

 映画は、沖縄を映像で記録する時に必ず行き当たる沖縄戦を伝えようと企画した。会社がある豊見城市内の野戦病院壕に配属された積徳高女のふじ学徒隊を取材。同窓生10人の証言を伝える作品になった。

 城間さんは、映画が完成したころ、野村さんが「(ふじ学徒隊がいた)糸洲の壕におやじもいたんだ」とつぶやいたのを聴いた。石川県出身の野村さんが、軍医だった父を沖縄戦で亡くしたことをあまり話すことはなかった。城間さんは「野村さんはふじ学徒隊を描きながら、お父さんのことを描く気持ちがあったのでは」と推し量る。

 野村さんが亡くなった時、元学徒の娘が、映画で証言した母親が亡くなったことを知らせてきた。城間さんは「みなさんとお会いできる機会は少なくなった」と肩を落とす。

 だからこそ「映画が重要になる」。一人一人の証言を受け取る一人一人が自由に感じ取れる映画に―。野村さんの思いを受け、体験の継承に取り組む。

 同社は野村さんの「追悼上映会」を7月25日午後1時半から沖縄県立博物館・美術館講堂で開く。「ふじ学徒隊」のほか「糸満の女」(1968年)、「イザイホウ」(1967年)。定員100人、完全予約制、入場無料。予約は同社、電話098(850)8485。