社説

社説[嘉手納基地で火災]立ち入り調査が必要だ

2020年6月25日 07:00

 いったいどんな危険物を、どれだけ貯蔵し、どう管理していたのか。住民の不安を解消するためにも、国や県・周辺自治体の立ち入り調査が必要だ。

 米軍嘉手納基地の危険物保管施設で発生した火災の消火で、塩素ガスが大気中に放出され米軍関係者約100人が被害を訴え手当てを受けた。米軍は民間地域への影響はなかったとするが、具体的な根拠は示されていない。

 火災は発生から鎮火まで約6時間を要し、施設の屋根は崩壊、大規模な発煙が続いた。もうもうと立ちのぼる黒煙を住民は不安げに見つめた。

 基地内の施設でこれほど大規模な火災は近年ない。

 今回、米側は日米地位協定の環境補足協定に基づく、立ち入りの前提となる自治体への通報をしなかった。塩素ガスの影響は基地内にとどまった、とするからだ。

 本当にそうだろうか。

 管轄する第18航空団によると、消火作業は基地の消防隊が対応。火災現場から風上152メートル、風下610メートルの広範囲で、関係者を避難させた。

 米軍は当初、火災の事実は発表したが、塩素ガスの放出には言及しなかった。

 基地内の軍人らには症状がある場合、医療機関を受診するよう指示。他方、報道機関に塩素ガス放出を伝えたのは数時間後だった。

 當山宏嘉手納町長の「住民の不安を払拭(ふっしょく)するためにも基地の外に影響がなかったとする具体的なデータを示してほしい」という声は当然だ。今後、周辺3市町で、現場確認のための基地内への立ち入りを求める考えだ。

■    ■

 火災を巡る米軍からの通報について、河野太郎防衛相は「適切ではなかった」と述べ、情報伝達の在り方を見直すよう米側に申し入れた。

 環境問題にフェンスはない。

 住民は有害物質による影響を心配しており、日米両政府は原因究明と再発防止に取り組むべきだ。

 現行の日米安保条約発効から60年。日米同盟は、外交・安保政策の基軸とされてきたが、県民の生活環境や人権は後回しにされてきた。

 極東最大級の嘉手納基地では、外来機の飛来が相次ぎ、駐機場からのエンジン調整音など、住民は深夜早朝を問わず、騒音にさらされている。

 同基地に由来する人体への有害性が指摘される有機フッ素化合物PFOS(ピーホス)による飲料用水源の汚染も繰り返されている。

■    ■

 県内では米本国と異なり、基地と住宅地が近接する。

 火災によって、米軍が次亜塩素酸カルシウムなどを保管することが明らかになった。事故が起きれば民間地域に深刻な影響を与えかねない危険性も浮き彫りになった。

 県も基地への立ち入り調査を求めるなど、地元の不安解消のため積極的に関与してほしい。

 県は日米両政府への地位協定改正要望で、緊急の場合は、事前の通知なしに「即座の立ち入り」を求めている。米側の火災後の対応を見ても、やはり、地位協定の抜本的な見直しが必要だ。

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