23日、沖縄は戦後75年の「慰霊の日」を迎えた。沖縄タイムスでは新型コロナウイルスの影響や戦争体験者の高齢化が進む中、「追悼式会場に足を運びたくても運べない人がいるのではないか」と考え、沖縄戦の犠牲者の名前が刻まれた「平和の礎」に代行でお参りする企画を実施。お参りを依頼したのは戦争を体験したことのない世代だ。戦争体験者が身近にいなくても、祈りを通して子や孫に「平和の大切さを伝えたい」という2人の依頼者の姿からこれからの戦争の記憶継承のあり方が見えた。(デジタル部・比嘉桃乃)

■依頼者は戦後生まれの70歳と45歳

 沖縄タイムスでは17日から19日にかけてTwitterやFacebookを活用し、「オンライン平和の礎参り」の依頼者を募集。応募条件はお参りする対象の人の名前が平和の礎に刻まれていることとエピソードの公開がWebなどでできることだ。「平和の礎」は世界の恒久平和を願い、国籍や軍人、民間人の区別なく、沖縄戦などで亡くなったすべての人々の氏名を刻んだ慰霊碑のため、居住地は問わなかった。

Twitterでの呼びかけ文

 募集期間も短い中、応募してくれたのは那覇市に住む長嶺和子さん(70)と横浜市在住の木村恵子さん(45)だ。2人の共通点は戦後生まれで、礎に刻まれた人に会ったことがないことだった。

 2人の依頼文を一部抜粋して紹介する。

 長嶺和子さん    祖母・糸洲正子の礎にお参りしてほしい

「昨年の刻銘で祖母糸洲正子が礎に載った。疎開先の台湾山奥で亡くなった祖母の事が長年母の気がかりだったが、思いを実現することができた。安心した母は今年の2月天寿を全うして天に召されたことを祖母に報告したい」

 木村恵子さん   祖父・有尾直の礎にお参りしてほしい

「有尾直は、私の祖父です。もちろん一度も会ったこともありません。沖縄に行く事も難しいので応募しました。できれば家族みんなで行きたいです。そして、戦争があった事を子供たちにも伝えていきたい。今の私達がなぜこんなに何不自由のない生活が出来るのかを伝えなくてはいけないんです」

 依頼者の長嶺さんと木村さんに電話で詳しい話を聞いたのは21日。
親族にも刻まれた人のことを鮮明に覚えている人がいない中、2人とも親や既に亡くなった上の世代から聞いた話を元にその人自身のことをできるかぎり伝えてくれた。