ずれ落ちないか、見ている側が心配になるほど鼻の先端に乗せた眼鏡。好々爺(や)のような風貌から語られる言葉が、防衛関係者の注目を一身に集めた時期があった

▼今から9年前。米上院軍事委員会のレビン委員長は、名護市辺野古の新基地建設の見直しを国防総省に迫った。気脈を通じる重鎮のマケイン、ウェッブ両上院議員と共に、あのころ頻繁にメディアに登場した

▼「非現実的であり、実行不可能」。予算可否を左右する権限を握る実力者の物言いは波紋を呼ぶ。「辺野古が唯一」の厚い壁を崩せるのか。沖縄でも期待が膨らんだ

▼結果はどうだったか。翌年の日米2プラス2共同文書。文言を「『これまでに特定された』唯一の有効な解決策」に修正し、辺野古以外の選択肢に含みを持たせたが、結局それまで。両政府の大方針を覆すまでには至らなかった

▼時は流れ、再び米議会で辺野古に注文が付いた。下院軍事委員会の小委員会で、埋め立ての先行きへの懸念が盛り込まれた国防権限法案が可決された。成立までの道のりは長い。沖縄からすれば至極まっとうな意見が、なかなか実を結ばない

▼思い返せば、辺野古案を否定したレビン氏の腹案は、嘉手納統合案だった。結局、県内移設に落とし込む姿勢は両政府と変わらない。厚い壁の向こうに、もう一枚の壁が見える。(西江昭吾)