社説

社説[観光再開]安心 安全の旅提案を

2020年6月27日 09:41

 新型コロナウイルス対策のための県をまたぐ移動自粛が全面解除され、観光客が少しずつ戻ってきた。

 大打撃を受けた観光産業回復の鍵を握るのは、感染防止と需要喚起の両立という難題への対応だ。まだまだ厳しい状況は続くが、長期的な戦略と、培ったホスピタリティーで危機を乗り越えたい。

 沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)の推計によると、5~8月の入域観光客数(国内客)は前年同期比で77%減少する見込みだ。航空各社の減便が続いていることや「3密」を避けるため減席していることなどから、本格的な回復基調に入るのは7月後半と予測する。

 県が発表した5月の観光客数は緊急事態宣言や来県自粛などの影響で、前年比94%減と復帰以降、最大幅の落ち込みとなった。

 まず取り組まなければならないのは、安心・安全の観光地づくりである。感染リスクの懸念が消えない中、旅行者は高い感染予防策や衛生環境を旅先に求めるはずだ。

 県は受け入れ態勢をまとめたアクションプランの柱として、那覇空港内に旅行者専用の相談センターを開設した。「旅前」から「旅後」まで体調を確認し、関係機関につなぐなど相談支援や情報収集・発信を一元化する。

 緊急事態宣言の全面解除後も、東京などでは新たな感染者が確認されている。ウイルスの再流入を防ぐためにも、取り組みの実効性を絶えず検証しながら、受け入れ態勢を整備していかなければならない。

■    ■

 観光事業者も受け入れに向け独自の取り組みを始めている。

 ホテルでは、ビュッフェの食事をスマホで注文するようにしたり、宴会の席数を減らすなど工夫を凝らす。

 石垣市では、感染対策をとったホテルと協定を結び、発熱チェックができるカードを無償提供するなどの支援策を講じている。

 他方、3密回避には入客の制限が伴い、経営への影響は避けられない。当面は外国客も見込めない。今は回復を見据え、強い観光産業を育てることが重要で、ニーズの変化への対応を急ぎたい。

 OCVBは国内誘客プロモーションで、新しい生活様式に合った旅スタイルを実践する事業者を紹介する。業界全体の取り組みとその魅力を効果的に発信してほしい。感染予防という質を備えた沖縄発の旅や観光モデルを官民挙げて提案していくことも必要だろう。

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 総合産業である観光の回復には、観光従事者の雇用の維持が欠かせない。

 新型コロナを巡っては、休業を余儀なくされ収入を失ったり、休業手当が支払われないなど雇用の不安定さも浮き彫りになった。

 県経済の要である観光産業を支える人材を大切に育て、雇用の確保も含めた観光再生プランの策定も必要ではないか。

 長年指摘されてきた観光産業の構造改革、量から質への転換について議論を深める機会でもある。

 
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