大弦小弦

[大弦小弦]戦後沖縄と重なる香港デモ

2020年7月3日 07:21

 「命に関わる問題だ」。香港国家安全維持法(国安法)が成立する直前、民主活動家の周庭さんが心境を述べている。不安を裏付けるように、同法の施行直後、1万人以上の抗議デモで300人以上が逮捕された

▼中国政府による香港の統制強化が目的といわれる国安法。成立と前後して民主運動の複数のグループが解散し、周さんも脱退を表明した。それでも市民の抗議は続く

▼身の危険を感じながらも圧政に向き合う経験は戦後の沖縄と重なる。1950年代には米軍の土地強制接収に対し、伊江島の阿波根昌鴻さんらが「乞食行進」と呼ばれる県内行脚をした。捨て身の意思表示で米軍の圧政を可視化したのだ

▼言論や集会の自由もなく基本的人権も保障されない米軍統治下。その中での抵抗の積み重ねが、現在の沖縄の反戦平和の思いにも受け継がれている

▼批評家の柄谷行人さんは世界中のデモについて、市民が権利を獲得したり、革命で政権が変わった歴史を持つ場所で起きていると指摘する。香港にも市民運動で国家安全条例や逃亡犯条例を撤回させた経験がある

▼中国や香港の政府は、国安法で「混乱が収まる」としているが、国際社会の批判は一層強まっている。強権的な姿勢で市民の声が止められないことは、戦後沖縄の歴史を見ても明らかだ。(与儀武秀)

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