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香港の民主主義が死んだ…国安法おびえる県出身者 「デモできる沖縄がうらやましい」

2020年7月6日 07:43

 「デモや集会、座り込み抗議などができる日本や沖縄の皆さんが、本当にうらやましい」。6月30日に香港国家安全維持法(国安法)が成立・施行され、デモ参加という意思表示ができなくなった香港に住む県出身女性はそう語る。「香港(の民主主義)が死んだ」と落胆する女性だけでなく、県内からも「国家権力の恐ろしさを感じた」と懸念の声が上がっている。

香港のデモに参加した若者ら=2019年6月16日(普久原朝日さん撮影)

 香港に30年近く住む女性は3日、本紙の電話取材に「みんな、香港の一国二制度が終わったと言っている。私もそう思う」と答えた。最高刑を終身刑とした国安法の厳罰化に「同僚も戦々恐々としている。『香港、頑張れ』とさえ言えない。どこで誰がチェックされているか分からない」と政府の検閲におびえる。

 7月1日には香港で同法への抗議デモが決行され、約370人が逮捕されたが、デモ参加者は以前より少なかった。女性の周りにいる若者も「もう参加しない」と言っているという。

 今まで、デモや集会で政府当局の政策に反対の意思表示を続けてきた香港。同法の施行で反体制的な言動ができなくなっている現状に触れ、女性は沖縄の若者に「意思表示できる自由があることを、当然だと思わないで。政治選挙に目を向けてほしい」と訴えた。女性は今後も香港の行方を見守っていくつもりだ。

 写真家の普久原朝日さん(25)=那覇市=は昨年6月、中国本土への容疑者引き渡しを可能にする「逃亡犯条例」改正案に反対する香港のデモ現場を訪れた。運動の高まりを受けて改正案は撤回された。今回も、多くの市民が声を上げれば良い方向に進むと思っていたが「国家の暴力の方が強いのか」と声を落とした。

 普久原さんは「辺野古」県民投票の会メンバーとして活動した。示された新基地建設反対の民意を無視し、日本政府が工事を強行する沖縄の現状に「民意を国家の力で押さえ付ける香港の状況と似ている。沖縄も安心できない」と危機感を抱く。香港の人々の話を聞き内実を知ることで沖縄の現状打開についても模索し、連帯していきたいと語った。

[ことば]香港国家安全維持法とは

 香港での反政府活動を取り締まる法律。国家分裂、政権転覆、テロ活動、外国勢力との結託による国家安全への危害-の4種類の犯罪行為を処罰する。最高刑は終身刑。外国人も処罰の対象とされている。

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