大弦小弦

[大弦小弦]差別の二択 全否定か容認か

2020年7月6日 07:16

 最近、考え込んだ質問がある。「本土出身で良かったことは」。言葉を探し、「知らないうちに得してばかりの人生なんだと思う」と答えた。本土出身で、男で、体の性に違和感がない異性愛者で。つまり多くの面で多数派で

▼宜野湾市議会が「男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」案を否決した。年齢、障がい、国籍などあらゆる多様性の尊重をうたい、ヘイトスピーチを含む人権侵害を禁止する内容だった

▼市政与党の反対論は、主に性の多様性に向けられた。ゲイであることを公表している文化人類学者の砂川秀樹さん(53)は市内に住むLGBTの友人たちの憤りと落胆を聞いた

▼否決翌日には、再上程と可決を求めるオンライン署名を初めて呼び掛けた。ネット上で自分の名が拡散される怖さもあったが、黙っていられなかった

▼議会では少数派の権利に関連して「慎重な議論が必要」という意見が出ていた。「すでに生きている私たちの権利が必要かどうか議論されること自体が痛み。数で否決されてしまうなら、なおのこと」と語る

▼一部の差別をあえて見過ごす反差別政策はあり得ない。宜野湾市が今後性の多様性を切り離した条例案を再提案するとしたら、それは差別容認の条例になる。行政、議会、多数派の市民には全ての差別を終わらせる責務がある。(阿部岳

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