母子家庭が困窮する要因の一つだと長く指摘されてきた問題である。不払いをなくすルールを確立し、子どもの貧困問題の解決につなげるべきだ。

 政府の女性活躍に関する「重点方針2020」が決まり、離婚後の養育費不払いを解消するための法改正の検討が初めて明記された。

 養育費制度の見直しに向け、自治体と連携したモデル事業の実施、海外の法制度や運用状況の調査などを進める考えという。

 法改正の検討にあたり安倍晋三首相は「困難な状況にある女性にしっかりと支援を行う」と語った。

 養育費不払いを巡っては先月、有識者による検討会議、法務省と厚生労働省の審議官級の検討会が相次いで発足した。

 有識者会議では現行法の運用改善や法改正の必要性、審議官級会議では公的機関による養育費立て替えや強制徴収制度導入の是非が議論されている。

 いずれもこれまでの制度に風穴をあける期待がかかる。 養育費は子どもと離れて暮らす親が、子を育てている親に支払う費用で、養育費を受けることは子どもの権利である。

 だが厚生労働省の2016年度調査で、母子世帯の約7割が離別した父親から子どもの養育費を受け取っていなかった。

 子どもの貧困率13・9%に対し、ひとり親世帯の子どもの貧困率が50・8%と深刻なのは、養育費不払い問題と無関係ではない。

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 養育費は子どもが生きていくための糧である。にもかかわらず不払いに対する法的措置が少なく、家庭内の問題として親のモラルに任せた結果、子どもに不利益が生じているのだ。

 そこで関心を集めているのが、自治体が先行する形で取り組む不払い養育費の立て替え制度である。

 兵庫県明石市では養育費を受け取れないひとり親家庭が困窮するのを防ぐため、条例制定に向けての準備を進めている。

 市が一定額を立て替えた上で、立て替えた養育費の回収に応じない離婚相手には過料を科すことなどを検討するものだ。

 恒久的な制度は来春導入の予定だが、新型コロナウイルスによる経済への影響を考慮し、立て替え払い事業を前倒しする方針という。

 踏み込んだ対策の背景にあるのは、住民に近い自治体の危機感だろう。

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 コロナによる雇用情勢の悪化は、パートなど非正規で働く人が多く、収入や貯蓄が少ないシングルマザーらを直撃している。

 支援団体の調査では収入が減ったり、なくなったりしている人が7割を占め、厳しい生活が浮き彫りになった。

 欧米の多くの国では行政機関が代わって取り立てる制度が整備されており、養育費の不払い自体に罰則を設けているところもある。

 社会として子どもの貧困を放置しないという意思を示すためにも、法整備による根本的な対策が必要だ。