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社説[基地内感染拡大]国の責任で対策を示せ

2020年7月14日 07:19

 在沖米軍基地関係者の新型コロナウイルス感染拡大が止まらない。

 大規模なクラスター(感染者集団)が発生している普天間飛行場で、新たに32人が感染していることが分かった。浦添市の牧港補給地区(キャンプ・キンザー)でも1人の感染が判明した。

 7月に入り県内5施設で計96人が感染したことになる。いったい基地内で何が起きているのか。

 緊急事態にもかかわらず必要な情報が得られず、感染の詳細が分からない。県民の不安は日に日に高まり、もどかしさは募る一方だ。

 在沖米軍トップのクラーディー四軍調整官は11日、玉城デニー知事に「最高レベルの感染防止対策を取っている」と伝えた。普天間とキャンプ・ハンセンをロックダウン(封鎖)したとも説明した。しかし、感染者は急増、実際には両基地ともYナンバー車両が出入りしている。

 菅義偉官房長官は13日、「感染者の行動履歴の追跡などを含め、必要な情報共有を行っている」と述べた。行動履歴など情報が開示されないと訴える県の認識とは隔たりがある。

 北谷町で急きょ行われたPCR検査には飲食店関係者ら130人が駆け付けた。米軍から知りたい情報が速やかに公表されないことに県民は不安を抱いているのであり、菅氏のコメントからはその危機感が全く感じられない。

 そもそも米軍基地を提供しているのは政府だ。食い違いがあるというのなら、政府がただちに会見し、これまでの経過や米軍の対応、政府としてどう取り組むのかを明らかにすべきだ。

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 米軍関係の感染者は分からないことが多い。

 沖縄に異動で来た人なのか。以前から住んでいた人なのか。基地の中に住んでいるのか外なのか。基地の外に出たのか。県民との接点があったのか。まるで伝わってこない。

 一方、米独立記念日の4日には、多くの米軍関係者らが基地の外へ繰り出し、飲食店を利用したり、数百人規模のイベントに参加したりしていたことが分かっている。規律が緩んでいたのは明らかだ。

 県民は春以降、「3密」を避けて外出や経済活動を自粛し、努力して感染を抑え込んできた。打撃を受けた観光業がようやく少しずつ元に戻りつつある中、米軍基地からの感染拡大である。このままでは風評被害などの影響が出かねない。

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 玉城知事は15日上京し、県と基地所在市町村でつくる県軍用地転用促進・基地問題協議会(軍転協)として、感染拡大防止の徹底を政府に要請する。

 感染者数が今後さらに膨らむことも予想され、県民の命や健康が危ぶまれていることへの強い危機感のあらわれだ。

 米軍基地関係者の感染は沖縄だけの問題ではない。県は、米軍基地所在の都道府県でつくる渉外知事会にも提起し、連携して国に働き掛けるべきだ。

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