南北大東では「アンマク」、宮古は「マクガン」、八重山では「マッカン」「マッコン」など。地域によってさまざまな呼ばれ方をするヤシガニは県民になじみが深い

▼陸上に生息する甲殻類で最も大きく、貴重なたんぱく源として古くから食されてきた。真っ赤にゆで上がった姿を初めて見た時は、その迫力に目が点になった

▼国際自然保護連合がヤシガニを絶滅危惧種のリストに載せた。減少の主な要因は、観光客向けの需要が増えたことによる過剰捕獲や生息環境の悪化とされる。同ランクに指定されたマツタケと共に食卓からどんどん遠のいていくようだ

▼「実際に沖縄で見つかるヤシガニはサイズが小さくなっている」。生態に詳しい県立芸大准教授の藤田喜久さんは警鐘を鳴らす。研究グループで2014、15年、県内7島を調べたところ、繁殖力の高い大型の雄がほとんど見られず、雌に偏っていた

▼繁殖可能となるまでに雄で7~8年、雌は10年ほどかかるという。後先考えずに乱獲すれば、絶滅への道をたどる。多良間村などの保護条例のように「地域の実情に合った資源管理のルールが必要」と藤田さん

▼ヤシガニにまつわる歌謡や遊びがあるように、自然は文化を育む。絶滅の恐れとされたのは文化も含めてと捉えたい。豊かなしまくとぅばが死語とならないように。(大門雅子)