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宿泊キャンセル数十件、商業施設も客足鈍る 米軍基地でコロナ拡大、沖縄の経済にまた冷や水

2020年7月15日 08:24

 在沖米軍基地での新型コロナウイルス感染拡大が、県経済に再び影を落としている。北谷町のホテルでは宿泊予約が相次いでキャンセルになった。観光客受け入れ再開へ始動したばかりの観光業界にとっては冷や水を浴びせられた格好。大型商業施設でも今月上旬から客足が鈍り始め、基地に出入りする事業者は従業員への感染を不安視する。関係者は一進一退の状況を冷静に受け止めつつも、事態の長期化を警戒している。

米軍基地内の感染が確認されて以降、人通りがまばらな美浜の飲食店街=14日、北谷町美浜

▽観光関連

 米軍が北谷町内のホテルで異動対象者を滞在させていることで、観光業界からは風評被害を懸念する声も上がる。

 同町美浜にあるリゾートホテルのマネジャーは「(報道後)県内外から数十件単位の宿泊キャンセルが発生している」と話す。「どこのホテルで隔離しているのか」などの問い合わせも多数寄せられており、「影響は少なくない」と明かす。

 町内の別のホテルでも数件キャンセルがあった。支配人は「米軍が隔離しているホテルには感染者がいると誤解している人もいる」と話し、問い合わせには異動対象者の滞在であることを説明するなど対応に追われているという。

 一方、キャンセルの理由はホテルでの隔離とは一概に言えないとの見方もある。東京での感染拡大や、国の観光支援策「Go To キャンペーン」への乗り換えのためにキャンセルしたことも考えられるためだ。

 県内旅行社の多くは、米軍の感染拡大、ホテル隔離などによる県外客の目立ったキャンセルはないとする。ある旅行社の担当者は「全国では米軍の感染拡大が大きく取り上げられていないことが背景にあるのでは」とみる。

 ただ、県民の県内旅行のキャンセルは増加傾向にあり、今後感染が拡大すれば「県全体のイメージ悪化は避けられない」と話す。

 沖縄観光コンベンションビューローの下地芳郎会長は「北谷町でのPCR検査で全員が陰性だったことから楽観的な見方もあるが、しばらくは予断を許さない」と戒める。感染者が出るのはやむを得ないとしつつ「1~2週間は情報をしっかりと見ながら、県は米軍への正しい情報提供を求めながら、濃厚接触者らの検査を急ぐ必要がある」と話した。

▽商業施設

 本島中部の大型商業施設では来店客数が減少するなどの影響が出始めている。米軍から感染者の行動履歴が公表されず、感染リスクの懸念が拭えないためだ。米軍関係者を隔離しているホテルがある北谷町内の事業者は「米軍は県民が安心して買い物ができる管理体制を敷いてほしい」と訴える。

 北中城村にあるイオンモール沖縄ライカムでは、米軍普天間飛行場で複数人の感染が明らかになり、9日から客足が減少している。担当者は「5月に営業を再開してから徐々に客足が伸びていたが、感染が明らかとなってからは地元客の来店が数%落ち込んでいる」と明かす。施設が米軍基地から近く、日頃から米軍関係者が利用しているため、敬遠しているのが影響しているとみる。

 北谷町内で日用雑貨を販売する大型店では、感染確認から初の週末となった11、12の両日の客足が落ち込んだ。担当者は米軍に「基地外で感染者が出ないように行動履歴を把握して、基地内で管理してほしい」と求めた。

▽出入り業者

 在沖米軍基地で新型コロナウイルス感染が相次ぐ中、基地に出入りする県内業者らが従業員への感染を懸念し、警戒を強めている。基地に出入りしないなどの独自の対策を講じる一方、従業員がPCR検査を優先的に受けられる体制を求める意見もある。

 基地のスーパーなどへ青果や加工品を卸す業者の代表は「本音は取引を止めたいが、長い付き合いがある。注文があれば納品しなければならない」と複雑な心中を明かす。

 マスクなど基本対策を徹底するが、従業員に感染する不安が残るとして「県には症状の有無にかかわらず、PCR検査を優先的に受けられるようにしてほしい」と求めた。

 基地の工事を手掛ける建設会社は、感染者が多数出た普天間飛行場とキャンプ・ハンセンに立ち入らないよう従業員に指示した。現在、両基地の工事は請け負っていないが、感染拡大で別の基地の自社案件に影響が出る恐れもある。担当者は「仮に工事が止まれば人件費の負担が膨らむ」と早期収束を願った。

 ベースタクシーはハンセンなどで営業できなくなっているという。沖縄中部個人タクシー事業協同組合の具志川武義理事長は「売り上げへの影響はあるが、今は安全が何よりも大事」と強調。基地外でも、米軍関係者がよく訪れていた繁華街などへ行かないよう組合員に呼び掛けている。

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