社説

社説[米軍新たに36人感染]PCR検査 義務付けよ

2020年7月16日 07:09

 米軍キャンプ・ハンセンで15日、新たに36人の新型コロナウイルスの感染が確認された。在沖米軍関係者の感染者は5施設で計136人に達し、この5日間だけで116人に上る。基地内での感染拡大に歯止めがかからず、米軍を除く県内の累計感染者148人を上回るのは時間の問題のように見える。

 基地内での感染者急増の影響は、当然ながら、小さな島の中でフェンスを隔てて隣り合うように暮らす基地外の生活圏にも及ぶ。

 沖縄タイムスの調べでは、本島内の11市町村の小中学校で、基地従業員や軍関係者の子どもが少なくとも75人欠席した。米軍から要請されたり、保護者が自主的に自粛したりしたという。基地関係者の家族というだけで学習権が奪われ、偏見やいじめで不利益を受けないよう行政には十分な目配りを求めたい。

 PCR検査の問題も見過ごせない。米軍関係者が米国から直接、在日米軍基地に入国する際、無症状者のPCR検査が義務付けられていない。日米地位協定の規定で、日本の国内法が適用されず、検査対象は熱やせきなどの症状がある人にとどまる。

 一方、羽田空港など民間空港で入国する際は、日本の検疫に従って米軍関係者も含めて全員がPCR検査の対象となる。

 基地内での感染拡大という事態を鑑みれば、基地経由の入国者全員のPCR検査受診に向けて日米両政府は動くべきではないか。

■    ■

 東京を中心に感染者が増える中、新型コロナで打撃を受けた観光業界を支援する「Go To トラベル」の開始が22日に迫る。政府は予定通り実施する構えだ。

 感染予防策と経済社会活動の両立が要諦であることは、第1波で経験した休業要請や外出自粛を踏まえ、理解できる。ただ、基地内感染が広がる沖縄にとって、首都圏から大勢の観光客が訪れることに不安感は否めない。

 「Go To トラベル」には、全国の知事から異論が相次ぐ。東京都の小池百合子知事は15日、都外への不要不急の外出は控えるよう呼び掛け、支援事業の時期や方法の再考を求めた。大阪府の吉村洋文知事は「近隣県など小さい単位から始め、感染の様子を見ながら全国に広げていくべきだ」とくぎを刺す。

 今は慎重さが求められる。事業の予算を地方に委ね、時期をずらし、それぞれの地域の実情に合わせた手法を政府は検討してはどうか。

■    ■

 玉城デニー知事は、米軍の感染拡大を受けた11日の記者会見で「第2波が来たという緊張感を持ち、県民の健康や経済活動を守る」と語った。仮に基地内の感染状況を県の4段階の警戒指標に当てはめれば、「第3段階」に相当し、3日後には緊急事態宣言を出すことになる。そうなれば、県をまたぐ移動の自粛を要請する局面が訪れる。

 米軍は警戒指標の対象外だが、状況的にはそれほど危機的だと言える。県の専門家会議の知見を得つつ、客観的なデータに基づいた知事のメッセージを発信した方がいい。

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