一度破壊したものを再生するのは至難の業だ。それは形あるものも無いものも、同じこと。

「WAVES/ウェイブス」

 将来を約束された高校レスリング選手のタイラー。試合シーズンの真っただ中、肩の故障が発覚するが誰にも言えずに苦しむ。更に彼を追い詰める出来事が続き、タイラーは次第に心身のバランスを崩していく。

 順調だった人生が少しずつ狂い始めたとき、多少長く生きた大人なら止まっても見ようか、他の道を探しても見ようかと、考えを巡らす余裕もある。だが若い頃の突き進むしか道が無いように感じる不安や焦燥感は、得てして選択できる道をふさいでしまうものだ。

 壊れたものは元に戻らない。だがそれだけが全てではないことを教えてくれるのは、いつも傍にいて愛してくれる存在。映画の中ではタイラーの妹がその役を担う。(スターシアターズ・榮慶子)

◇ライカムで上映中