玉城デニー知事は16日に県庁で記者会見し、沖縄県内で新たに、米海兵隊キャンプ・ハンセンに出入りするタクシー運転手の80代男性=沖縄市=の1人に新型コロナウイルス感染を確認したと発表した。男性は日常的にハンセンで米軍関係の客を乗せており、在沖米軍基地で大規模クラスター(感染者集団)が起きた7月以降、米軍関係者から県民に感染した初の事例とみられる。知事は、新たに普天間飛行場で2人の感染が確認されたことも明らかにした。
県内での新型コロナ感染は11日を最後に確認されておらず、5日ぶり。基地内の感染拡大が県民に波及した事態に、玉城知事は「沖縄における流行第2波が発生しているという強い危機感を持ち、米側と協力して感染拡大防止に取り組む」と述べた。
県によると、男性運転手はハンセンなどで4日から8日まで勤務。他の基地への出入りや県民を乗車させたかは分かっていない。14日に38度台の発熱があり、15日に感染症指定医療機関を受診。抗原検査で陽性が判明し、現在も入院中。重症ではないという。保健所が濃厚接触者の調査を急ぐ。
米軍内の感染拡大は、基地内外で4日の米独立記念日前後にあったパーティーが一因とされる。県の糸数公保健衛生統括監は、男性が実際に感染した米軍関係の客を乗せたかは「まだ確認できていない」としつつ「ハンセンで米軍関連の感染者がタクシーを利用し、男性に感染させた可能性が高い」と認識を示した。
このほか県は16日、基地従業員11人を含む36人に新型コロナの検査を実施し全て陰性だった。
在沖米軍基地では7月に入り、大規模クラスターが発生。16日までに普天間飛行場で73人、ハンセンで58人、嘉手納基地など3施設で4人が確認されている。3月分を含めた在沖米軍の累計感染者は138人で、県内の累計感染者149人に迫る勢いで増えている。