社説

社説[米軍感染止まらず]早急に検査対象広げよ

2020年7月18日 09:38

 在沖米軍基地で新型コロナウイルスの感染者が急増する中、16日、基地に出入りするタクシー運転手の感染が確認された。懸念されていたことが現実となった。

 タクシー運転手の男性は、今月3日と4日、基地外であった米独立記念日のイベント参加者を乗せたという。詳しい行動履歴や濃厚接触者などは明らかにされていないが、県は推定の感染経路に「米軍関係」の分類を追加した。

 フェンス一枚隔てて同じ島で生活する県民の感染リスクは高まっている。コロナ感染を巡る状況は、新たな局面を迎えたといえるだろう。

 さらに感染が分かった米軍関係者の複数人が、基地の外に住んでいたことが明らかになった。

 17日に確認された3人を加え、在沖米軍の累計感染者は141人。

 県民は5月以降、自粛行動で68日間、感染者を出さずにきた。だがここにきて、米軍関係者に起因する感染が止まらない。日米地位協定によって日本側が検疫を行えず、情報共有もままならない中にあっては、明白な「基地被害」である。

 河野太郎防衛相は17日、在日米軍基地に入国する全ての米軍関係者にPCR検査をするよう米軍側に求めたと発表した。

 感染防止に検査は欠かせないが、それだけでは県民の不安は払拭(ふっしょく)されない。

 米軍基地を提供している国の責任で、基地従業員やタクシー運転手など関係者、その家族にも対象を広げ、検査を早急に実施すべきだ。

■    ■

 基地に出入りする県内業者や基地従業員からは検査を求める切実な声が上がる。

 基地内のスーパーに青果や加工品を卸す業者は、感染の不安を抱えながらも「付き合いが長く、注文があれば納品せざるを得ない」と不安を隠さない。クラスターが発生したキャンプ・ハンセンで働く従業員は「感染の不安が日に日に増す」と訴える。

 タクシー業界は米軍関係者が訪れる繁華街に行かないよう呼び掛けるなど独自の対策を取る。

 全駐労沖縄地区本部は、いつ感染するか分からない不安を抱えながら働く従業員を守るため、雇用主である沖縄防衛局にPCR検査の実施を求めているが、具体的回答は示されていない。

 県は中部地区にPCR検査の検体採取センター設置をする方針で調整を進めている。本来国が実施すべき対策の遅れをカバーする形だ。

■    ■

 観光への影響も懸念されている。

 政府は、観光支援事業「Go Toトラベル」を全国一律ではなく東京発着を対象外として、予定通り22日から実施する。

 大打撃を受けている県内の観光関係者からは歓迎する声が多い。ただし水際対策や感染者、濃厚接触者を追跡するアプリの使用などあらゆる防止策が前提だ。

 アクセルとブレーキを同時に踏む対応は可能なのか。キャンペーンで感染が広がれば、観光回復の勢いを鈍らせることになりかねない。


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