社説

社説[「GoTo」事業迷走]首相は説明責任果たせ

2020年7月19日 08:30

 観光支援を目的とした政府の「Go To トラベル」キャンペーンから、東京発着の旅行が除外されることになった。

 22日からの事業開始を前にした突然の方針転換である。現場では予約のキャンセルが相次ぐなど混乱が広がっている。

 国内宿泊やパック旅行、日帰りツアーを対象に、旅行代金の50%を国が支援し、旅行需要を喚起するのがキャンペーンの目的だ。

 35%分の代金割引と、土産品などで使える15%分のクーポンを組み合わせ、このうち35%分の割引を22日から先行して始める予定である。

 東京都の新型コロナウイルスの新規感染者が300人に迫る状態が連日続くなど、第2波の兆候を示していることを考えれば、東京を除外したのは当然の判断といえる。

 だが、神奈川など隣県や他地域でも増加の傾向を見せている中で、なぜ、東京だけを外したのか。

 キャンペーンは当初、8月上旬からスタートする予定だった。閣議決定の文書にも「感染拡大の収束後」と記されている。なぜ、実施を前倒ししたのか。

 23日からの4連休に合わせて旅行需要の掘り起こしを図ったというが、東京だけでなく全国的に感染拡大の傾向が見られる。そのことをどれだけ考慮したのか。

 観光関連業者にはキャンセルが相次いでいるが、赤羽一嘉国土交通相は、国によるキャンセル料の補償は考えていない、という。

 疑問は尽きない。

■    ■

 観光業界は需要喚起策としての「Go To」キャンペーンに大きな期待を寄せている。沖縄もそうだ。経済を取り巻く沖縄の現状は観光依存度が他県よりも高いだけに、極めて深刻である。

 この状況下でどうやって経済の回復を図っていくのか。

 玉城デニー知事がこの問題でメディアのアンケートに回答せず、見解の表明を控えているのは、「コロナ対策」と「経済対策」の板挟みにあっている表れに他ならない。

 米軍関係者の感染が急速に拡大しており、感染後、基地外で行動していた人が相当数いたことが明らかになっている。

 県にとっては、「コロナ対策」も「経済対策」も新たな段階を迎えているのである。 玉城知事は、今、この状況の下で県が取るべき対策を、県民に分かりやすく伝える責任がある。国のキャンペーンがスタートする前に、県の考えを示すべきである。

■    ■

 それよりも何よりも、説明責任を果たすことが痛切に求められているのは安倍晋三首相である。

 十分な説明もないまま、突然、新たな方針が打ち出されたり、従来の方針がころっと変わったりして現場が混乱を極めるという構図は、新型コロナウイルスの感染症対策でこれまでも、たびたび見られたことだ。

 安倍首相は、このやり方が本当に適切か、国会で説明すべきだ。それさえできないようなら、首相の座にとどまる資格はない。

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