社説

社説[子の貧困7人に1人]いつまで放置するのか

2020年7月20日 06:10

 2018年時点の「子どもの貧困率」が13・5%だったことが、厚生労働省の国民生活基礎調査で分かった。

 子どもの貧困率とは、中間的な所得の半分に満たない家庭で暮らす18歳未満の割合を指す。前回15年調査の13・9%から改善せず、依然として子どもの7人に1人が貧困状態にある。

 とりわけ深刻なのは母子家庭が大半を占めるひとり親世帯だ。その貧困率は48・1%に上る。前回より2・7ポイント改善されたとはいえ、半分近くが経済的な苦境に置かれている。

 母子世帯の平均所得額は306万円。86・7%が「生活が苦しい」と回答しており、前回に比べ4ポイント増えた。生活費や教育費が重くのしかかる厳しい台所事情がうかがえる。なぜか。

 働くシングルマザーのうち約半数は、パートやアルバイトなど賃金水準の低い非正規労働者だ。子育てと仕事を1人で担わなければならず、長時間勤務が難しい人が多い。

 フルタイムで働いていても女性の賃金は男性の7割にとどまり圧倒的な格差がある。厚労省の調査では、残業代などを除いた平均月給で10万円近くの開きがあった。

 離婚後に、子どもと離れて暮らす親が支払うべき養育費が払われないケースも多く、母子家庭で困窮が深刻化する要因の一つとされてきた。

 しわ寄せがいくのは子どもたちだ。生まれ育った家庭環境によって子どもたちが追い込まれるようなことがあってはならない。

■    ■

 子どもの貧困問題が指摘されて久しい。政府も教育無償化などに取り組んでいるものの解消が進まない。先進7カ国(G7)の中でも高水準が続いたままだ。これまでの支援の在り方を見直すべきだ。

 今回の調査が行われたのは昨年6~7月。現在、新型コロナウイルスの感染拡大によって解雇や雇い止めなど雇用状況が悪化し、困窮世帯はますます厳しい状況に陥っている。コロナの影響は長期化する恐れがあり、手厚い対策が求められる。

 これまで、子ども食堂や無料塾など民間の力を得た取り組みは充実が図られてきた。

 その一方で、公的な支援はまだ脆弱(ぜいじゃく)だ。税制や社会保障制度を通し、生活に困難を抱える人を支援する所得再分配機能を強化すべきである。ひとり親世帯に支給される児童扶養手当を増額するなど、経済的な支援を急いでほしい。

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 子どもの貧困率が全国の約2倍の沖縄は、さらに深刻だ。

 県が実施した高校生調査では、食料や衣料が買えなかった経験の割合が、全国平均や東京都調査の結果を上回った。学校の授業の理解度について、困窮層は非困窮層よりも早い段階でつまずきやすい傾向が表れた。

 貧困がさまざまな形で子どもたちに影を落としている。

 政府は昨年11月、「子どもの貧困対策大綱」を閣議決定した。政府と自治体で連携し、実態に合った継続的な支援を早急かつ着実に行ってほしい。

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