サンゴが黒くなって死滅する被害が近年、沖縄県内各地の海域に広がっている。原因は海綿動物の一種「テルピオスカイメン」。県内で研究を進める琉球大学熱帯生物圏研究センターの山城秀之教授は「別名『黒い悪魔』とも呼ばれ、被害の広がり方はサンゴの新たな脅威。研究を進め、被害を食い止めたい」と話す。

テルピオスカイメンの被害が広がる今帰仁村沖のサンゴ礁=2019年5月9日(山城秀之教授提供)

チヂミウスコモンサンゴ。黒い部分がテルピオスカイメン=18年11月30日(提供)

テルピオスカイメンの被害が広がる今帰仁村沖のサンゴ礁=2019年5月9日(山城秀之教授提供) チヂミウスコモンサンゴ。黒い部分がテルピオスカイメン=18年11月30日(提供)

 テルピオスは厚さ約1ミリのシート状で、サンゴの石灰質の骨格に食い込むように張り付く。1日に1~2ミリほど広がり、サンゴを黒く覆うのが特徴。1980年代に本島周辺で確認されていたが、その生態は明らかになっていない。

 山城教授の研究チームは2年前から研究を本格化。新たに喜界島(鹿児島県)、古宇利島、水納島、粟国島、下地島、来間島、与那国島の七つの離島で被害を確認した。水深数メートルの浅瀬で見られることが多く、本島西側の今帰仁村から大宜味村にかけては1キロ以上、被害が広がっているリーフもあるという。

 黒くなったサンゴの表面はざらざらした手触りで、テルピオスがくっついている感触はない。「人の手で剥がすのは無理」と山城教授は言う。「特定のサンゴを選ばず、生きているサンゴであれば何でも好む印象。特にエダコモンサンゴの被害が多い」と指摘。サンゴが死ねば、生物の多様性が失われると危ぶむ。

 研究センター内の水槽でも生態を調査中だが、飼育が難しいという。「潮の流れなのか、好きな餌があるのか、いろいろなパターンを試しているが、なかなか生態をつかめない」と悔しがる。「生き物としては謎が多くて面白いが、サンゴを救うためにさらに研究を進めたい」と話している。(社会部・山城響)