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保健室に行く子をコロナとからかい 教育現場の苦悩 医師「感染した子を責めないで」

2020年7月21日 05:00

 沖縄県内で小学生の感染が初確認された。教育現場は感染対策に加えて、いじめや熱中症などの対応にも気をもむ。教員からは心配と不安の声が漏れた。

(イメージ写真)席と教室の黒板=フリー写真素材ぱくたそ(www.pakutaso.com)

沖縄県立南部医療センター・こども医療センター小児感染症内科 張慶哲医師

(イメージ写真)席と教室の黒板=フリー写真素材ぱくたそ(www.pakutaso.com) 沖縄県立南部医療センター・こども医療センター小児感染症内科 張慶哲医師

 本島中部の小学校低学年の担任を務める20代の教員は「一番避けたいのは、感染した児童が特定されること」という。仮に受け持つ学級から感染者が出た場合でも「うちのクラスから出たという説明はしない」。

 精神的なダメージを受け、不登校になる児童も出かねないためだ。学年閉鎖や臨時休校にもつながるため「誰のせいで学校が休みになったのか」といじめに発展しないかを心配する。

 発熱して保健室に行く児童を「コロナ」とからかう子もいる。「子どもたちの世界では『発熱=コロナ』。児童が傷つかないように気を配っていきたい」

 本島南部の中学校で勤務する50代の男性教員は「教員は登校前と放課後に校内を消毒し、密に気を付けている」。ただ「休み時間は生徒が近い距離で遊ぶ。そこまで注意するのは難しいし、心苦しい」と疲労感をにじませる。

 教員は校内の消毒以外にもクラス全員の体温チェックや健康観察も課せられ、精神的に張り詰めた毎日を送る。「一番必要なのは人手。校内の消毒は業者を活用する手もある。クラスの定数を半分にすればリスクが減る。そのためにも教員の数を増やしてほしい」と話す。

 本島南部の小学校に勤める20代の男性教員は、コロナと熱中症対策に頭を抱える。マスクの着用を求めるが、冷房が故障しているクラスがあり、体調不良を訴える児童がいるという。

 「食欲が落ち、体力もなくなって免疫が落ちれば、コロナの感染リスクも増す。でも、マスクは必要。どうバランスを取ればいいのか…」と悩みを語った。

■「誰にでも起こり得る」

南部医療センター・こども医療センター 張慶哲医師(小児感染症内科)

 今回、感染した男子児童の感染経路は明らかになっていないが、そもそも子どもに限らず、この感染症は誰にでも起こり得る。たまたま、周辺で最初に感染が分かっただけの可能性もある。感染した人の行動を責め立てるなどし、感染した人が悪いかのように考えるのは無益かつ危険だ。

 大人に広がりつつある偏見が子どもの世界に広がらないようにする必要がある。

 日常生活を再開しながら感染対策を継続するという難題を両立させようしている段階で、どうやっても感染のリスクはゼロにならない。できるだけリスクを減らすために、大人は率先して、発熱などの症状があれば仕事を休む、「3密」を避けるなどの模範を示すことが求められる。

 保育や教育現場は、必死の思いで感染防止対策を講じていると思う。校医や専門家らと相談し、対策の再確認を行ってほしい。休校などの措置を安易に行うことは反対だ。休校が子どもの心身に与える悪影響はいくつもの報告が出ている。 子どもたちが教育を受ける機会を可能な限り守るために十分な配慮をお願いしたい。大人が冷静になって対処し、目先のことだけでなく子どもたちの将来を見据えて考えてほしい。

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