今年1月、豚熱(CSF)発生で3千頭余の殺処分を経験した喜納農場(沖縄市)の喜納忍代表が8月から、キッチンカー「Kinner’s(キナーズ)」による飲食事業に乗り出す。大切にしていた豚をすべて失った今「県産食材に目を向けさせて、地産地消を盛り上げたい」と奮起。養豚場再建を目指しながら新たな一歩を踏み出す。

キッチンカー「Kinner's」を前に「地産地消を盛り上げたい」と意気込む喜納忍代表(右)と店長の岸部しのぶさん=6月29日、うるま市

 地産地消を創造するという意味を込めた「ご地創(ちそう)サンド」を販売する計画だ。また、生産者の紹介や商品に対する思いを届けることで商品に付加価値を付けたいと、ウェブ上で配信していく。

 食材は沖縄市の自家製ハムとソーセージの専門店「TESIO(テシオ)」や、うるま市の無添加パン屋「アイプラス(Boulangerie i+plus)」から調達。沖縄市の「ヤソウカフェyamacha」から発酵野菜の調理アドバイスも得る手はずを整えた。

 養豚場から自前の豚を出荷し、収入が元の状態に回復するまでには2、3年かかる見通しだという。育てた豚を取り扱う商品も考案予定だ。

 今年1月に豚熱が発生し、手塩に掛けて育ててきた3012頭を失った。そんな中、スーパーの精肉コーナーで県外産の安い商品が並んでいた。喜納代表は「沖縄の農家がしっかり稼げなければ、子どもたちに継がせたいと思えない。適正な価格で買ってもらえるよう、私たちも努力しなければならない」と話す。

 その上で「キナーズが生産者と消費者をつなげることで、県民の皆さんが県産品を選ぶきっかけになってほしい」と意義を語った。(政経部・又吉朝香)