[涙の跡]沖縄工野球部主将 國吉涼介

目を真っ赤にしながら、仲間の打席を見守る沖縄工業の國吉涼介=18日、沖縄セルラースタジアム那覇(我喜屋あかね撮影)

 初回の守備に就く時、沖縄工業の國吉涼介はバックスクリーンに向かって目を閉じ、グラウンドに「攻」と書いて手を置く。自分が臆病な性格だから「攻める意識を持つため」に始めた。中学の頃から、ずっと変わらないルーティンだ。

 4強入りした春は、全4試合で8四球。選球眼には自信があり「臆病だからかみ合っていたのかも」と振り返るが、最後の夏は打つと決めていた。主将として、チームのために「大事な場面で1本を打ちたい」と燃えていた。

 18日にあった八重山との初戦。1点を追う四回2死満塁で打順が回り、「お前が決めろ」と仲間からげきが飛ぶ。追い込まれてからの5球目。「意地でも打つ」と会心の一打に、右拳を突き上げながら一塁へ駆けた。「今までなら四球か見逃し三振だったはず。人生で一番気持ちよかった」

 結局、試合は七回に8点を失い、2-10で無念のコールド負け。最後の攻撃、ベンチで声を上げながら「今までやってきたことを思い出した」と涙がこぼれた。

 けがに苦しみ、部活動再開後はバラバラになりかけたチームを必死にまとめた。甲子園が無くなったショックは今も引きずっている。それでも「こんなキャプテンについてきてくれてありがとう」。仲間に支えられた高校野球に、悔いはない。(我喜屋あかね)