オープニングは、主人公マリアの浮気シーン。結婚20年。夫がいる身で、勤め先の大学の学生とお遊びの恋。どうやら、美男子がお好きなようで、浮気現場からの帰り道でも若い男に色目を使う。

今宵、212号室で(桜坂劇場提供)

 でもそれをキアラ・マストロヤンニが演じることで、いやらしさより、かっこ良さが際立つからすごい。夫に携帯を見られ、浮気がバレるも、この奔放さ。夫もずっと見て見ぬふりをしていると思いきや、実は浮気の事実を知らない夫。そのことに驚くマリアの前に、出会ったころの姿をした夫がやってくる。

 ここから物語はファンタジーに。しかし現実は厳しく、恋人時代の甘い記憶を振り返る間もなく、結婚の選択の是非を突きつけられるマリア。ただ、映画を包むシャンソンは、恋の渋味を人生のエッセンスくらいに思わせてくれる。

(桜坂劇場・下地久美子)

◇桜坂劇場で25日から上映