社説

社説[コロナ禍の就活]第2の氷河期つくるな

2020年7月24日 08:25

 来春卒業予定の学生の就職活動が、新型コロナウイルス感染拡大の大きな影響を受けている。

 感染リスクを避けるため、学生と企業側が直接会う機会が少なく、面接もオンライン形式が主流になるなど前例のない就活だ。その上、業績の悪化で企業が採用を抑制する動きが出ている。多くの学生たちが不安の中にいる。

 就活中の県内学生を対象に民間団体が行った5月の調査では、新型コロナウイルスの影響で採用人数が減るなどして希望業界・企業に内定がもらえるか不安に感じている人が56・2%いた。内定取り消しがないかを心配する回答も24・2%あった。

 社会人としての第一歩を踏み出すための就活である。学生たちを後押しする手厚い支援が必要だ。

 今年の就活は、大手を中心にオンライン形式で面接を行う企業が増えており、中には最終面接までウェブで完結する企業もあるという。

 ウェブ面接は学生にとっては、移動に要する時間や費用を抑えられる利点がある。一方、対面に比べて「会社の雰囲気がつかみにくい」「自分の熱意を伝えにくい」などの声が挙がっている。企業にとっても、直接会わずに採用を決めることへの懸念がある。

 せっかく就職しても仕事内容や社風が合わず、早期に離職するようなことになれば、働く本人にとっても企業にとってもマイナスだ。学生には十分な企業研究やオンラインへの準備を、学校には丁寧なキャリア教育を求めたい。

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 リクルートキャリアによると、7月1日時点で全国の大学生の内定率は73・2%。前年同時期を約12ポイントも下回っている。

 ウェブ面接が困難な企業などでは選考活動を一時停滞させていた社も多く、内定が出るペースが遅れ気味なのが一因だ。

 さらに急速な景気悪化をにらみ採用を見直す企業の動きが気になる。国内主要企業の26%が既に来年度の新卒採用を減らす考えを示している。航空需要の急減でANAホールディングスは新卒採用活動の中止を発表、日本航空も中止を検討しているという。

 学生に優位な「売り手市場」が続いてきた雇用環境が一転、厳しい状況に陥っている。

 警戒しなければならないのは、バブル崩壊後の1990年代半ば以降に起きた「就職氷河期」と呼ばれた極端な就職難である。現在に至る非正規雇用の増加や、正社員との格差につながっている。なんとしてもこれをくいとめなければならない。

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 経済の先行きが厳しくとも企業には安易な採用の抑制は控えてほしい。

 内定の取り消しも当然許されない。県内では6月12日までに、3事業所で新規学卒者2人、新規高卒者3人の内定取り消しが判明した。 

 若い人材は企業の困難を乗り越える大きな力となり得る。企業には選考期間を延長したり入社時期をずらすなど柔軟な対応を求めたい。長期的な視点で安定した採用を継続してほしい。

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