社説

社説[コロナ感染急拡大]説明不足が不安を助長

2020年7月26日 08:22

 県内でも新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからない。米軍関係では24、25の2日間に、合わせて64人の感染者が新たに確認された。

 県関係の新規感染者も25日だけで14人を数える。県内の1日の感染者数としてはこれまでで最も多い。

 7月に入って感染拡大が急だ。とりわけ米軍関係の増加が目立つ。

 玉城デニー知事は「米軍基地内で爆発的な感染が起こっている」との認識を示し、危機感をあらわにした。

 米本国から直接、米軍基地に到着する軍人軍属とその家族はこれまで、日本側の検疫を受けないで入国し、基地の内と外を自由に出入りしてきた。

 基地の外に住み、基地と民間地域を行き来している米軍関係者は少なくない。日本人従業員も基地内で働き、基地の外で生活している。

 基地ごとの新規感染者数を安全保障上の理由で非公表とするなど、これまでの米軍の対応に住民の視点が欠けていたのは明らかだ。日本政府も事態を積極的に改善しようとはしなかった。

 状況を動かしたのは感染拡大に対する住民や自治体、渉外知事会などの危機感である。

 在日米軍司令部は24日、来日したすべての米軍関係者に新型コロナの検査を義務付ける指示を出した。

 米軍基地に勤める日本人従業員約900人を対象に25日から26日まで、沖縄市でPCR検査が行われる。

 だが、それでもなお、住民の不安や懸念が尽きない。

■    ■

 感染者数の累計は県関係186人に対し、米軍関係者は229人。7月に入って急拡大しているが、内情は見えない。

 5月、6月に68日間発生数ゼロの状態が続いていた県内関係も、じわり増加の傾向を示している。

 米軍との関連ははっきりしないが、米軍の感染拡大が観光に悪い影響を及ぼしているのは、キャンセル状況から見ても明らかだ。

 「経済・観光」にさらなる打撃を与えるのではないか、という不安。感染拡大が高齢者に波及し重症化が進むのではないか、という懸念。

 県民は今、二重の不安・懸念にさらされているのである。

 住民の不安や懸念を解消するうえで今、求められるのは、政府や米軍が適切な情報を開示し、説明責任を尽くすことである。

 この点をあらためて強調したい。

■    ■

 沖縄駐留の米海兵隊は24日、記者と意見交換し、感染拡大の防止策をアピールした。招待されたのは共同通信とNHKだけだったという。

 米軍は、トップの四軍調整官が記者会見を開き、感染拡大の現状と今後の対策を説明し、記者の質問に答える機会を設けるべきである。

 基地を「ブラックボックス」にしてはならない。

 安倍晋三首相は国会閉会後、この件で記者会見を開いたことが一度もなく、閉会中審査にも出席していない。指導者が逃げてはならない。

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