社説

社説[自粛要請求めず]感染防止の具体策示せ

2020年7月29日 07:01

 沖縄県内で新型コロナウイルスの感染者が急増している。ここ数日は新規感染者数が2桁となる日が相次ぎ、27日に18人、28日は21人と2日連続で最多を更新した。

 県の専門家会議は、県外から訪れた観光客や帰省した県民が起点となり、本島中南部で「流行が始まった」との見解を示している。20~30代を中心に夜の繁華街で感染が広がっているという。

 このままでは高齢者や子どもを含めた県内全域での流行へと加速しかねない。何としてもくい止めなければならず、今はその瀬戸際だ。

 県は26日、県内警戒レベルを「第1段階(発生早期)」から「第2段階(流行警戒期)」に引き上げた。

 玉城デニー知事は28日の会見で「県内の状況は予断を許さない」との認識を示し、夜の繁華街や感染リスクの高い高齢者施設の対策に重点的に取り組む考えを表明した。

 一方、感染が拡大した地域やクラスター(感染者集団)が発生した店舗周辺での休業要請は見送った。都道府県をまたぐ移動自粛の要請もしなかった。

 観光客の激減で県経済が苦境にあえぐ中、踏み込んだ対策は避け、経済の立て直しを重視した判断だ。

 知事は「経済状況をいかにして回復基調に乗せるか、県民の安全安心を一緒に考えなければならない」と両立を図る考えを強調した。

 もちろんどちらも重要なのは分かる。ただ、示された方針は、ちぐはぐな印象を受ける。

■    ■

 県が第2波に備え、感染状況に応じた4段階の警戒レベルを策定したのは今月初め。段階別に行動をまとめ、第2段階は「クラスター発生業種や接待・接触を伴う店への外出自粛」「感染地域への(からの)渡航自粛要請」などと示した。

 にもかかわらず実際に店内でクラスターが発生してもその業種の店への外出自粛を求めず、渡航自粛も求めないというのであれば、何のために警戒レベルを引き上げたのか、県民には分かりにくい。

 警戒レベルを判断する七つの指標のうち「病床利用率」「入院患者数」「直近1週間の新規感染者数」の3指標は、既に「第3段階(感染流行期)」に入っている。

 感染拡大に不安を感じる県民も多いのではないか。

 医療関係者からは「もっと強く言ってほしかった」との声もある。どうやって感染防止と両立させるのか、より丁寧な説明が必要だ。

■    ■

 県がどのような姿勢で感染対策に臨んでいるのかは、県民のみならず、沖縄旅行を検討している全国の人たちも関心を寄せている。

 政府の「Go To トラベル」キャンペーンが始まったが、出だしは観光業界の期待ほど伸びていない。ここで感染が急拡大すれば沖縄旅行が控えられ、かえって観光の立て直しに水をさす。

 安心安全な沖縄をどうアピールするか。空港での水際対策の実効性を高めると共に、必要となれば地域や業種を限定した営業自粛要請にも踏み切るべきだ。

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