社説

社説[松山地区に休業要請]危機意識持って行動を

2020年7月31日 07:36

 新型コロナウイルス感染者の急増を受け、玉城デニー知事は、クラスター(感染者集団)が発生した那覇市松山地区の接待を伴う事業所に休業要請する方針を出した。期間は8月1日から15日で、応じた事業者に協力金20万円を支給する。

 30日の新規感染者は49人に上り、4日連続で最多を更新した。感染に歯止めがかからない状況では、やむを得ない対応といえる。

 ただ、28日に休業や県をまたぐ移動自粛を求めない方針を決めてから一転、対策が後手に回った感は否めない。

 県内の警戒レベルについては「第2段階(流行警戒期)」を維持するとしたが、気になるのは感染経路不明者が多いことだ。

 玉城知事は「クラスターが発生している地域にしっかり対応する。全体的に引き上げる段階ではない」とする一方で、一部の地域で感染拡大がみられることから「強い警戒感を抱いている」とも述べた。

 県内では新規感染者が28日に21人、29日は44人と増加のペースが加速している。大学、企業、行政機関など感染者の職業も幅広い。市中感染の可能性もある。

 県民や県外からの来県者に対しては、松山や夜の繁華街への外出自粛を求めた。飲食を伴う会合の制限や、感染が拡大している中南部地域などへの移動も「慎重な判断」を呼び掛けた。

 強制力はないが、制限を求めるからには県には詳細な分析と防止策のメッセージを随時発信してもらいたい。

■    ■

 県民には、飲食を伴う会合について5人以内、2時間以内に抑えるよう注意を促した。感染防止策を徹底している事業者には、対外的に示すステッカー発行の取り組みも始める。

 経済と感染防止策の両立を目指すためにも、めりはりのある対策は不可欠だろう。

 ただ、感染が広がれば経済への悪影響は避けられない。

 沖縄観光コンベンションビューローの下地芳郎会長は、感染者の増加で「マーケット側が沖縄旅行に少し慎重になっている」と懸念を示した。県はこうした危機意識を県民と共有することも必要だ。

 一方、休業要請などに伴う風評被害の懸念もある。感染の事実がないにもかかわらず、SNS上で店舗や事業者に関するデマや誤った情報が飛び交うこともある。不確かな情報は不安を招くだけだ。正しい情報は何か。冷静な対応を心掛けたい。

■    ■

 全国でも感染が拡大する中、政府は新型コロナ特別措置法改正の検討に入った。

 特措法を巡っては、全国知事会が休業要請をした際の補償について、「要請と国による補償のセット」を一貫して求めてきた。

 休業協力金などは都道府県の財政力に応じて決まることから、国による統一した基準や制度化を訴える声が上がっている。

 「第2波」の到来が現実味を帯びる中、政府は法の課題を速やかに洗い出し、実態に合った感染防止のための作業を急ぐべきだ。

前の記事へ 次の記事へ
連載・コラム
きょうのお天気