全国の刑務所をめぐり、元受刑者を積極的に雇用している北洋建設(札幌市)の小澤輝真(てるまさ)社長(45)が7月31日、南城市の沖縄刑務所を初めて訪れ、受刑者と面接した。難病「脊髄小脳変性症」を患っている小澤氏は2012年、医師に余命10年と宣告された。手足はうまく動かせず、ろれつも回らないが、「どんな人でも『人財』になれる」の信念のもと、県内の受刑者にも熱いまなざしを向けた。(北部報道部・又吉嘉例)

受刑者を面接する北洋建設の小澤輝真社長=31日、南城市・沖縄刑務所

「元受刑者を採用する企業が増えてほしい」と望む北洋建設の小澤輝真社長=31日、南城市・沖縄刑務所

受刑者を面接する北洋建設の小澤輝真社長=31日、南城市・沖縄刑務所 「元受刑者を採用する企業が増えてほしい」と望む北洋建設の小澤輝真社長=31日、南城市・沖縄刑務所

 法務省の「犯罪白書」によると、18年の日本の刑法犯の再犯者率は48・8%。同年まで20年間、増加傾向にある。2人に1人が再び罪を犯す点について小澤氏は「仕事がないからまた罪を犯し、刑務所に戻る。日本という国は刑務所の出所者に厳しすぎる」

 同社は小澤氏の父親が創業した1973年以来600人超の元受刑者を採用してきた。現在も社員約60人の3分の1を占める。小澤氏は3代目社長に就任した6年前から月1回ペースで各地の刑務所に足を運び、受刑者を面接している。

 採用したら身元引き受け人となり、元受刑者の北海道までの交通費や着替え、仕事道具などの費用も負担する。これまで採用にかけた費用は2億円に達した。「全国で一番多く採用している」と自負。「採用できる体力があるからやる。うちがやらなければどこがやるのか」と力を込めた。

 沖縄刑務所では、窃盗で収監された名護市出身の20代男性と面接した。建設業で働いたことがあり、同社が全国の刑務所に配ったポスターを見て応募したという。小澤氏は会うなり、内定を出した。「僕は病気なんだ。余命は2年。でもこんなに頑張っている。あなたにも北海道で頑張ってほしい」と笑顔。男性も表情をゆるめ、「北海道で自分の経験が生かせる。やりがいがある」と感謝した。

 採用後、すぐにやめる人や逃げる人もいる。ほかに職を見つけて出ていく人もいる。一方、技術を身に付けて独立した人もいる。同社に在籍している限り、再犯率はほぼゼロだという。

 小澤氏は「人間的に悪くないのに、貧困や生活環境など社会的な理由で犯罪を起こさざるをえなかった人がいる」と世間の理解を求める。「うちに続き、元受刑者を採用する企業が増えたらうれしい。僕も先頭になって採用を続けたい。死ぬまでやろうと思っています」と固く唇を結んだ。