中度・重度の知的障がいがある生徒を対象にした「学びの教室(仮称)」が来年度、県立高校1校に設置されることが明らかになった。

 県教育庁の構想によると、生徒は特別支援学校籍となり、特支校と同様の教育課程を通学先の高校で受ける。実技科目の授業などは連携学級でほかの生徒たちと学ぶ。入学式や卒業式などの学校行事も一緒に参加する。設置高校の制服を着用して通学するという。

 県教育庁関係者は「体育や美術などの教科を一緒に学びながら、交流する場面を増やせるかを調査していく」考えを示す。定員は3人程度を予定している。

 障がいのある生徒も、ない生徒も、一緒に学ぶ機会を県立高校で取り入れる仕組みだ。モデル校設置という形でスタートし、課題を検討しながら県内各地に受け皿を増やす。

 入試は一般的な学力試験ではなく、面接を中心に生徒の特性などを把握する試験となるという。通常の入試とは別枠で募集する。

 これまで地域の小中学校で学んだ障がい児が仲間たちと一緒に高校進学を希望しても、入学試験を伴うことがネックとなり多くが断念せざるを得なかった。

 生徒の意欲を多様な尺度で評価して受け入れる「学びの教室」は、障がいのある生徒の学びを一定後押しするものだと言えよう。

 動き出したことは一歩前進だが懸念もある。

■    ■

 「学びの教室」の生徒は特別支援学校籍であり、学校の中では圧倒的少数派。ほかの生徒たちとどれだけ一体感を持てるかは懸念が残る。

 同じ学校に通い、時々は同じ教室で顔を合わせる。しかしあまり話をすることもない、という状況が続けば、かえって孤立化しかねない。

 障がいの有無にかかわらず共に学ぶインクルーシブ教育は世界の潮流だ。障がいのある生徒と接することで、周囲の生徒たちにも共生社会の理念への理解が広がることが期待できる。

 「学びの教室」は、障がいのある生徒をただ受け入れるだけでなく、高校で生き生きと学べ、卒業後の社会での自立した生活につなげるものでなけれなならない。

 教師同士が連携し、生徒をしっかりサポートする仕組みを構築してもらいたい。行事だけでなく、さまざまな機会で生徒たちが接点を持てる仕掛けも必要だ。

■    ■

 「学びの教室」設置の背景は、重度知的障がいのある仲村伊織さん(17)=北中城村=と両親の思いがある。

 「地域や社会とつながりが持てる生き方」を願い県立高校の受験に挑んだものの、3年連続で不合格となった。定員には空きがあったにもかかわらず、合格が認められなかったのである。

 高校進学率は約97%で健常児であればほぼ「全入」の時代に、障がいがあるとその扉が閉ざされてしまう。

 仲村さんが訴えた、教育を受ける権利をどのように保障するか、という問い掛けを社会全体で考えるべきだ。