昨年7月、那覇市安里の民家で実母=当時(85)=を包丁で突き刺し殺害したとして、殺人の罪に問われた元沖縄刑務所刑務官の被告の男性(57)の裁判員裁判判決公判が7月31日、那覇地裁であった。大橋弘治裁判長は精神疾患の影響で被告に刑事責任能力があったとまでは認められないとし、無罪を言い渡した。今後、判決が確定すれば、男性は医療観察法に基づき指定医療機関で治療を受ける見通し。

那覇地裁

 男性が事件当時、精神疾患を患っていたことに争いはなく、責任能力が限定的だった(心神耗弱)か、全くなかった(心神喪失)かが争点だった。検察側は懲役6年を求刑、弁護側は無罪を主張していた。母殺害の事実は争いがなかった。

 判決によると、男性は事件当時、統合失調感情障害の影響で「母を殺せ」という幻聴があった。大橋裁判長は、心神耗弱だったとする検察側の主張は専門医の供述などに照らして「合理的疑いが残る」と指摘。犯行動機も精神疾患の影響以外に見当たらないとした。

 那覇地検は「判決内容を精査し、適切に対応したい」とコメントした。