社説

社説[軽症者自宅療養]家族感染の不安拭えず

2020年8月4日 06:40

 新型コロナウイルス感染者の急速な増加を受け、県は軽症者や無症状者の自宅療養を導入する方針を打ち出した。「医療崩壊」を防ぐための窮余の策とはいえ、危惧されるのは家族への感染や容体の急変といったリスクである。

 県内の累計の感染者数は554人で、1日までの1週間の新規感染者数は人口10万人当たり18・33人で全国最多となっている。

 県は医療機関の病床を増やし軽症者向け療養ホテルの確保に努めてきたが、感染拡大に追い付かず、3日時点の病床利用率は146・6%と100%を大きく超えている。200人余が自宅待機となっている状況だ。

 玉城デニー知事は会見で「何としても医療崩壊を食い止めなければならない」と語り、自宅療養を容認した。重症者向けの入院医療を確保するため、従来方針の変更を迫られた形だ。 

 自宅療養にあたっては、50歳未満で基礎疾患がなく、高齢者と同居していない、家族の見守りが可能であることなどを条件とする。日々の体調確認や急変した場合の搬送手段など24時間対応の態勢も整えるという。

 厚生労働省は自宅療養時の感染管理対策について、患者専用の個室の確保が望ましいことのほか、行動範囲は最小限とし、世話は特定の人が担当するなど注意を呼び掛けている。

 家族内で感染を広げないためには徹底した対応が求められるが、緊張を強いられる生活に不安が先に立つ人も少なくないのではないか。

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 これまで感染経路が判明しているケースでは、配偶者や子どもへといった二次感染も目立っている。

 個室が望ましいことは分かっていても、1住宅当たりの延べ面積が全国でも下位にある沖縄では、部屋を分ける対策そのものが容易ではない。療養先の選択では個々の事情も考慮すべきだ。

 さらに症状が変化した場合にどう備えるか、自宅療養を巡っては容体急変の不安も拭えない。

 4月に埼玉県で、自宅待機中の男性2人が相次いで亡くなるニュースがあった。

 医療従事者の目が届かないだけにリスクを伴う対応であることは強く意識する必要がある。

 県も軽症者用の施設探しに動いていて、今日から運用が始まる療養ホテルもある。医療と確実につながる宿泊療養施設の確保を急ぐべきだ。

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 県の病床不足に対し菅義偉官房長官が3日、「宿泊施設の確保が十分でない」と苦言を呈した。だがこの問題で軽症者を自宅療養とするよう促したり、宿泊が基本と方針を転換したり、対応を二転三転させたのは政府の方である。

 入院患者の受け入れには、単に病床を増やすだけでなく、医療従事者の確保が必要だ。コロナ患者の受け入れによって経営悪化に陥っている病院も多い。

 宿泊施設の確保は県の仕事だが、コロナ対策の先頭に立つべきは国である。連携しなければ、とても立ち向かえない。

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