異様な叫び声(怪鳥音)や黄色と黒のコミカルな服(トラックスーツ)のイメージもあり、ブルース・リーに色気はないと勝手に決めていた。 実際、本作に登場するリー史上唯一のキスシーンも、びっくりするくらい艶がない。

「ドラゴン怒りの鉄拳」

 思えば彼の映画を見たのは、男性を知る前。大人の女として数十年ぶりに向き合い、びっくりした。

 知らなかった。「色気」は皮膚から湧き出るのだ。リーは詰め襟の長袖、長ズボンで肌を隠している。でも、服で隠せない手や顔の皮膚からもすでに色気が漂っている。

 間も無くリーがあの服を脱ぎ、肌があらわになった時、私は悩殺されるのだろう。その予感は当たった。劇中、狂ったように泣き叫んだり、怒りに震えたり、極端な演技を見せるリー。そこだけ切り取るとコミカルだが、じっと向き合っていると、全部セクシーなのだ。すごかった。(桜坂劇場・下地久美子)

◇同劇場であすから。