社説

社説[重症化対策]医療崩壊防ぐ重大局面

2020年8月7日 07:11

 新型コロナウイルス感染者急増に歯止めがかからない中、県の専門家会議は、感染拡大を抑えるよりも、重症者や死亡者の発生を防ぐ施策に軸足を置く段階に来ているとの認識で一致した。

 背景には、若者中心の流行が、徐々に重症化リスクの高い高齢者らに波及しているという県内の深刻な状況がある。

 6日に発表された新規感染者73人のうち、60歳以上は11人で約15%を占めた。依然として若い世代が多いとはいえ高齢者にも広がりが見られる。

 最近は連日、70~80人台の感染者が新たに確認される状況が続く。県は4段階ある警戒レベルのうち、上から2番目の「感染流行期」にとどめたままだが、入院患者数や病床利用率など複数の指標は既に1番上の「感染まん延期」レベルに達している。

 直近1週間の新規感染者数は人口10万人当たり29・9人で全国最多が続く。

 感染者の所在地も本島中南部から北部や宮古・八重山まで広がっている。

 この1週間の新規感染者の6割超が感染経路は不明で、市中感染が拡大しているのは明らかだ。

 重症者は6日時点で3人となっているが、高齢者の感染が増えれば重症者の増加につながりかねない。医療体制の逼迫(ひっぱく)が懸念される。

 今は感染爆発をくい止める極めて重要な時期だ。増加のスピードを何としても抑えなければならず、医療体制を維持するために重症者対策に軸足を移すということなのだろう。

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 那覇市安謝の特別養護老人ホームでは、入所者と職員7人の感染が判明した。ホーム内でクラスター(感染者集団)が発生している可能性がある。

 入所者は70代、80代、100代で重症化していないか心配だ。ほかの入所者に感染していないかも懸念される。保健所などと連携し、これ以上拡大しないよう、くい止めてほしい。

 また、県内では病床や療養ホテルの確保が追い付かず、入院・療養先が決まらず自宅待機する入院調整中の感染者が300人余りいる。

 病院や療養ホテルに比べ自宅にいる感染者には、どうしても医療の目が届きにくい。 専門家会議でも、重症化リスクのある人を見逃しかねないとの懸念の声が相次いだという。病院と保健所、県が連携を密にして対応し、異変の兆しがあれば迅速に医療につながる態勢を徹底してほしい。

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 来週は本土の盆休みを迎えるが、帰省を巡って地方で警戒感が広がる。

 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は、十分な感染症対策ができない場合、慎重な判断を国民に促すよう政府に提言した。

 しかし安倍晋三首相は6日の記者会見で帰省自粛は求めなかった。

 全国で感染が急拡大している。今は高齢者に接する帰省は控えるよう求める一段高いメッセージを発するべきだ。

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