広島大学は原爆投下から75年となった6日、広島市の大学施設内で原爆で被爆した樹木(被爆樹木)などで作ったビオラをお披露目した。ビオラ制作は浦添市出身で広島大学の研究員として働く嘉陽礼文さん(42)が中心となって企画。教員や学生が平和への祈りを込めて楽器を奏でた。

被爆樹木などで作られたビオラ(提供)

エゴノキを伐採する嘉陽礼文さん。ここから3、4m離れた地点から被爆者とみられる遺骨が発見された=2018年4月、広島県似島(嘉陽礼文さん提供)

被爆樹木などで作られたビオラ(提供) エゴノキを伐採する嘉陽礼文さん。ここから3、4m離れた地点から被爆者とみられる遺骨が発見された=2018年4月、広島県似島(嘉陽礼文さん提供)

 嘉陽さんは研究員の業務をこなしながら休日は原爆で犠牲となった人たちの遺骨を探す活動などに取り組んでいる。今回のビオラ制作にあたり、爆心地から約370メートル離れた地点にある被爆樹木のシダレヤナギや、原爆投下後に多くの被爆者が搬送され亡くなった似島に生えていたエゴノキを地権者の了承を得て譲り受けた。

 制作は広島に工房を持つ三原博志さんに依頼。側板やあご当てに木材を活用した。  嘉陽さんは、過去に親族を原爆で失った被爆者から亡くなった人たちが生きていた証が全て燃えてしまったことを聞き、「記憶の継承や慰霊を将来にわたってできないかと考えた」と今回の制作のきっかけを話す。

 「(被爆)2世の方も亡くなってしまい、時の流れは止められないと感じる。さまざまな方法で平和のメッセージを伝えたい」と願いを込めた。