中国に批判的な香港紙の創始者らや民主活動家の大学生、周庭さんが10日、香港国家安全維持法(国安法)違反の疑いで香港警察に相次いで逮捕された。沖縄県内からは「胸が詰まる思い」などと憂慮する受け止めがあったほか、連帯の意思を示す声が上がった。

都内の大学で講演した周庭さん=2019年1月5日、東京都

比屋根照夫 琉大名誉教授

都内の大学で講演した周庭さん=2019年1月5日、東京都 比屋根照夫 琉大名誉教授

 「香港市民の不幸は世界が見ている。周庭さんらの早期解放に向けて世界が注目し続けないといけない」。沖縄平和運動センターの山城博治議長(67)はこう話す。2016年、名護市辺野古の新基地建設の抗議行動中に逮捕され、約5カ月間にわたって勾留された。「逮捕された当時の経験がよみがえってくる」。自身の体験と香港の現状を重ね合わせる。

 「巨大な国家権力に立ち向かって市民の平和と自由を求めるのは、沖縄も香港も同じだ」。沖縄から約1400キロ離れた香港に対し「市民の命と暮らしを脅かすことに私たちも声を上げていく」と思いを寄せた。

 「辺野古」県民投票の会元代表の元山仁士郎さん(28)は、香港の民主主義と自治を求めている人々が国安法で逮捕されることに「ものすごくショックで、恐怖を感じる」と話す。

 12日夕に東京・永田町の国会議事堂前で「不当逮捕」への抗議集会を企画しているという。日本政府には「中国、香港当局に対し人権と民主主義、自治を守るよう訴えていく必要がある」と求めた。

 周庭さんは昨年9月、本紙の電話取材で、自由と民主主義の重要性を繰り返し「日本人にもっと香港のことを見てほしい」と呼び掛けていた。

◆基地問題と通底

 比屋根照夫琉球大名誉教授の話 香港国家安全維持法の施行で、香港の自治権が崩壊した。香港市民へ哀切の思いを禁じ得ない。沖縄の民意を無視した辺野古新基地建設の強行は、香港と通底している。民意を尊重させるためには、為政者が民意を踏みにじることに大衆がどこまで抵抗できるかが鍵だ。

 自由と正義を求める香港の若者や、言論で闘っているメディアへの中国政府の弾圧は国際的にも許されない。香港は今、極めて深刻な状況を迎えている。

 一方、香港の運動にこそ、自由と民主主義の本当の姿が表現されている。基地問題で闘っている沖縄をはじめ、国際社会は逮捕された民主派の人々を支えていく必要がある。

(日本近現代政治思想史)