靴磨きで、沖縄から被災地にささやかな支援を-。7月に甚大な豪雨被害を受けた熊本県の人々から、泥水に浸って汚れた革靴を募り、沖縄県内で再生させるプロジェクトが始まっている。新型コロナウイルスの影響で現地に赴くことが難しい中、沖縄市の靴磨き職人、仲程秀之さん(39)が発案。「思い入れのある靴がきれいになって、少しでも熊本の人が喜んでくれたら」と願いを込める。(学芸部・伊禮由紀子)

豪雨で汚れた靴の泥を洗い流す仲程秀之さん(右)と本永敬三さん=2日、那覇市前島・ReHug

 企画を共に進めるのは熊本県人吉市出身で、公認会計士として県内で中小企業の経営支援を手掛ける「ReHug(リハグ)」代表の本永敬三さん(42)。那覇市の同社で2日、熊本から届けられた革靴9足を磨く作業があった。中には泥がこびり付き、生臭さが残る靴もあり、被害の深刻さを物語る。

 本永さんの母(72)が住む実家も被災し、氾濫した球磨川の濁流に襲われ水没した。家族は無事だったが、思い出が詰まった実家には泥が流れ込み、見るも無残な姿に。「まさか…」。熊本にいる兄が書いた無料通信アプリのLINE(ライン)や豪雨災害のニュースを見て言葉を失った。すぐに寄付をしたが、現地で支援ができないもどかしさは募るばかり。そんな時に仲程さんから声が掛かり、企画への協力を即決した。「現地はまさに生活が大変な状況で、優先順位は高くないかもしれない。それでも遠方からできることをしたい」

 この日は、靴の泥を落とす洗い作業から始まり、乾かした後はクリームとワックスで丁寧に磨いた。依頼は無料で受け、現地の状況を見ながら持ち主に返却した。

 大切な人から受け継いだ形見の靴、大事な商談や新たな門出に履いた靴-。一足一足に持ち主の思い出があると仲程さんらは考える。実際に、災害ごみの山に仕方なく捨てられた革靴を本人に内緒で知人が送ってきたこともあった。「今は靴どころじゃないかもしれない。でも大事な靴を捨てずに私たちに預けておけば、また光を取り戻して履ける日が来るはず」と本永さん。「熊本で被災した方々が、また大切な靴と共に笑顔で歩けますように」と故郷に思いをはせた。