社説

[社説]熱中症とコロナ対策 高齢者の異変見逃すな

2020年8月18日 08:41

 全国的に厳しい暑さが続き、熱中症で搬送される人が増えている。

 静岡県浜松市では17日、41・1度を観測し、国内の史上最高気温に並んだ。県内でも30度を超える日が続き、日中は強烈な日差しがじりじりと照り付ける。

 消防庁の速報値によると、3~9日の1週間に救急搬送されたのは全国で6664人、県内では41人に上る。

 夏場に熱中症を警戒しなければならないのは毎年のことだが、今年は新型コロナウイルス感染対策も同時に行う必要がある。細心の注意を払わなければならない。

 特に警戒が必要なのは、新型コロナでもリスクの高い高齢者だ。熱中症で搬送された県内41人のうち、65歳以上が半数以上を占めた。今月に入り80代男性2人が亡くなっている。

 高齢者は暑さを感じにくく、体温を下げる能力も低下している。搬送された65歳以上のうち、半数以上が自宅で発生したとの全国のデータもある。室内だからといって安心できない。エアコンを適切に使って部屋の温度を調整し、暑さをしのぎたい。

 加えて感染対策で、換気扇を使ったり、窓を2カ所開放したりして換気に努めたい。

 東京都内で今月、認知症の80代男性が熱中症で死亡した。部屋にはエアコンがあったが1週間ほど前から故障し使用していなかった。一緒に暮らす80代の妻も認知症で、異変に気付いていなかったという。

 コロナ禍で周囲とのコミュニケーションがとりづらくなり、外の目が届きにくくなっている。弱者である高齢者には積極的な声掛けが必要だ。

■    ■

 コロナ対策で政府が勧める「新しい生活様式」では、マスク着用を呼び掛けている。

 だが、マスクを着けると皮膚から熱が逃げにくく、高齢者でなくとも体温調節がしづらい。気温や湿度が高ければ、気付かないうちに脱水症状に陥りやすい。

 厚生労働省は、屋外で人と十分な距離を確保できる場合はマスクを外すよう促している。こまめに水分補給し、大量に汗をかいた時は塩分も取るよう求める。

 文部科学省によると、学校生活では、体育の授業中や、登下校時に他の人と十分に距離が取れる場合には、マスクは必要ないという。

 今年は熱中症と新型コロナの2重の予防対策が必要となる異例の夏だ。バランスを取って対策の両立を図ることが重要となる。

■    ■

 熱中症は重症化すれば命に関わる。意識がはっきりしない場合などは躊躇(ちゅうちょ)せずに救急車を呼ぶべきだ。

 ただ、新型コロナで医療体制が逼迫(ひっぱく)する中、熱中症による搬送が増えれば医療への負担がかかる。

 発熱や意識レベルの低下など熱中症と新型コロナの症状は似ており、救急搬送の現場が混乱する恐れがある。浦添市では通報時の容体確認が徹底されず、救急出動が大幅に遅れる事態も発生した。

 暑さはまだまだ続く。医療体制を守るためにも熱中症対策を徹底したい。

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