永井荷風は1910年の随筆「夏の町」で、東京の生活を最も美しくさせるものは夏と書いている。土用半ばには早くも秋風が立ち初め、「打水の乾かぬ小庭を眺め、隣の二階の三味線を簾(すだれ)越しに聴く心持…」と風情をたたえる▼110年後、列島は打ち水では到底太刀打ちできないほどの酷暑が続いている。