今年2月に沖縄県内で初めて確認された外来種のハヤトゲフシアリを駆除する作業が21日、始まった。沖縄科学技術大学院大学(OIST)の主催で、連携して取り組む那覇市環境保全課や琉球大学の職員らが、那覇軍港そばの国道沿いに広がる巣穴を確認し、駆除用のエサを設置した。 

 

■2種類のエサ

 ハヤトゲフシアリが出入りする巣の周辺約80カ所に、糖分とタンパク質の2種類のエサを設置。砂糖を染みこませた脱脂綿と、ミールワームという観賞魚や鳥などペットのエサに使われる小さな虫に、繁殖機能を止める農薬を混ぜた。環境省沖縄奄美自然環境事務所の職員も参加した。

 2種類のエサにハヤトゲフシアリが集まり、小さな虫を巣穴へ持ち帰る様子が確認された。OISTの吉村正志農学博士は「働きアリがエサを巣へ持ち帰り、最終的に女王アリまで届けば全体が徐々に衰退していく。どんなエサが効果的なのか分からない点も多いが、試行錯誤しながら根絶を目指したい」と語った。

防除用のエサを運ぶハヤトゲフシアリ=21日、那覇市住吉町・国道332号沿い

 琉球大学農学部の辻和希教授によると、ハヤトゲフシアリは「スーパーコロニー」を形成し、国道沿いに点在する巣は全体が一つの家族。エサが偏ると、違う巣に住む働きアリ同士が足りない栄養分を融通し合う習性があるという。エサを胃にため、口移しする。

 同じ場所にエサがあれば、アリが学習し、より多くを巣へ持ち帰る研究データもあるという。「その習性を生かし、巣ごと退治していきたい」と意気込む。

 一方、一つの巣に女王アリが複数存在するため「1匹でも女王アリが生き残っていれば復活する。根絶はなかなか難しい」と指摘。「時間は掛かるが、個体数を徐々に減らしながらスーパーコロニーの退治につなげたい」と話した。

■アリ食いアリ

 ハヤトゲフシアリ(Lepisiota frauenfeldi)は南ヨーロッパ原産。別名ブラウジングアント。働きアリは体長2・5ミリ~4ミリの黒色で、動きが速いのが特徴。県内では似たアリが多く、見分けが難しい。ヒアリのように人を刺すことはしないが、攻撃性が高く在来種や昆虫を集団で襲って生態系を崩す「アリ食いアリ」で、「侵略的外来種」として警戒されている。

防除用のエサを設置するため、巣穴の位置などを確認する沖縄科学技術大学院大学(OIST)と琉球大学の職員ら=21日、那覇市住吉町・国道332号沿い

 飼育や保管、運搬などが原則禁止された「特定外来生物」に指定されているアルゼンチンアリに生態が似ている。環境省は侵入初期に防除し分布が拡大するのを防ぐため、ハヤトゲフシアリの特定外来生物への指定を検討している。

■生息範囲2キロ超

 環境省沖縄奄美自然環境事務所がハヤトゲフシアリの生息を確認したのは今年2月。那覇市の明治橋から那覇空港の間の国道332号と331号の那覇軍港沿いで、植栽部分に生息していた。7月の調査では、那覇新港内でも確認された。

 OISTの調査で、那覇軍港沿いの生息範囲は2キロ超に広がっていることが分かった。県内への侵入ルートや時期は特定できていない。

 環境省によると、国内では2017年に愛知県で初めて確認された。東京、大阪、福岡、鹿児島でも見つかっている。発見された場所はいずれも港湾地域