社説

社説[秋元議員再逮捕]司法をゆがめる悪質さ

2020年8月23日 13:37

 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業を巡って、収賄罪で起訴された秋元司衆院議員が再び東京地検特捜部に逮捕された。

 今度は、贈賄罪で起訴された中国企業側に裁判で虚偽の証言をするよう依頼し、報酬の提供を持ち掛けたとする組織犯罪処罰法違反(証人等買収)の疑いである。

 秋元議員は収賄容疑を一貫して否定してきた。一方、裏では金を使って証言を翻そうと画策し、裁判の公正さをねじ曲げようとした、ということになる。極めて悪質である。事実なら国会議員を辞職すべきだ。

 今回の逮捕容疑は、支援者だった会社役員らと共謀し、中国企業の元顧問に虚偽証言の報酬として計3千万円の提供を申し込んだ、というもの。会社役員らは元顧問に対し、2017年9月に議員会館で秋元議員と面会し現金300万円を手渡したとの起訴内容を否定する証言を依頼したとされる。

 会社役員は今年7月に那覇市内のホテルで元顧問に会った際、2千万円を持参した。うち1千万円は秋元議員が用意した疑いが持たれている。

 秋元議員は逮捕前、証人買収容疑について「関係ないのになんでこんなことになるのか」と関与を否定している。

 だが、特捜部に押収された現金からは秋元議員の指紋が検出されたという。元顧問らへの接触を盛んに試み、周囲に「自分の罪はなくなる」と話していたことも判明している。どういうことなのか。全容の解明が急がれる。

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 安倍政権が成長戦略の目玉と位置づけるIR。昨年末に離党するまで自民党所属だった秋元議員は、旗振り役の一人だった。

 IRを巡っては経済効果への期待がある一方、ギャンブル依存症への懸念も根強い。

 だが、政府は十分な対策を示さないまま、16年の臨時国会でIR整備推進法案を可決させた。スピード採決した衆院内閣委員会で、委員長を務めていたのが秋元議員だ。

 収賄があったとされる17年には内閣府副大臣としてIRの職務に携わっている。

 事件でIRのイメージは悪化した。誘致を検討していた自治体にも混乱が広がる。さらに新型コロナウイルス感染拡大の影響で、参入に意欲的だった海外事業者が撤退を表明するなど逆風が吹く。

 この機会に懸念が広がるIR事業はいったん止め、事件の影響の検証を優先してもらいたい。

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 公職選挙法違反(買収など)の疑いで前法相の河井克行衆院議員と妻の案里参院議員が逮捕されたのは6月中旬。わずか2カ月余りで現職の国会議員が3人も逮捕された。極めて異常だ。これだけの疑惑の当事者が、辞職せずいまだ歳費を受け取り続けているのも理解できない。

 安倍晋三首相には、秋元議員を副大臣へ任命した責任があるのは言うまでもない。

 離党後も二階派に特別会員として名を連ね、会合に参加している。自民党も、知らぬ存ぜずでは済まされない。責任をもって辞職を促すべきだ。

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