沖縄県の石垣市議会(平良秀之議長)で25日、市当局が提案した新型コロナウイルス経済対策のプレミアム付き商品券発行を巡る2億7千万円の補正予算案が議会運営委員会で否決され、予定していた臨時会が開けなくなる異例の事態となった。13日に一度否決された後に練り直して再提案されたが、野党と与党の中立会派が「中身が変わっていない」などと猛反発。5対4で退け、上程自体認めなかった。最終的には平良議長が議事進行権を理由に開会を断念した。

補正予算案が臨時会で議論されず流会したことについて記者の質問に答える中山義隆石垣市長=25日、石垣市役所

 商品券は1万円で1万5千円分の商品を購入できるプレミアムが付くが、野党や与党の一部から「1万円の負担は大きく経済的弱者への配慮がない」「プレミアム分の5千円を全市民に無償で給付すべきだ」などと批判が相次いだ。

 市は非課税世帯やひとり親世帯など低収入世帯の場合、1万円で商品券を購入するか、1世帯につき5千円分の商品券を受け取るか選択できる修正案を出したが、13日の採決では野党と与党の一部が反対し、12対9で否決された。

 この後、市はさらに内容を修正。「一括購入」と「交付のみ」に加え、新たに5千円で7500円分の商品を計2回購入できる「分割購入」の3パターンを用意して25日の臨時会を招集した。だが本会議に先立ち、与野党委員が日程などを協議する議会運営委員会で否決され、上程自体が認められないとされた。 

 議案に反対した野党と与党中立「未来会派」、賛成した与党自民はそれぞれ記者会見を開き、自らの正当性を主張した。

 野党の宮良操氏は「交付よりも経済対策を進めることに疑問がある。1万円は市財政から充てて市民の負担を減らすべきだ」と市の対応を批判。独自の案を示している「未来」の箕底用一氏は「市民への負担が大きい。市の事業予算を増額して、市民の所得を増やす方が良い」と指摘した。一方、自民の我喜屋隆次氏は「コロナ禍で観光客が激減し石垣の経済がどれほど落ち込んでいるのか全く理解していない」と抗議した。

 結局、臨時会は流会に。平良議長は「騒然とし、議論ができない状態では議事進行権の権限を行使せざるを得なかった。臨時会を開ける状況ではなかった」と力なく話した。

◆市長SNS投稿

 25日の石垣市議会議会運営委員会で議案の上程が異例の採決で否決されたことを受けて、中山義隆市長は直後に自身のツイッターやフェイスブックを更新し、「前代未聞。議会運営委員会が野党と未来会派の多数で上程自体を認めないと決定。気は確かか?」と投稿した。野党は不穏当発言として即座に記者会見で抗議し、反発した。

 中山市長は報道陣の取材に対し、「私は気は確かかと思う。上程の可否について権限のない議運で採決したという意味で」と主張。「法的根拠はあるのかと言いたい」と説明を求めた。議運の対応については「日程や委員会付託など議会運営上のことを議論する場」と指摘した。議案の中身や手法、要項にまで踏み込んだことを批判し、「議運の権限を越えている。議会の権限を著しく逸脱している」とした。

 一方、野党は「議会があたかも市長の追認機関であるかのような不当なメッセージを市民に発信している」と憤った。