県は10月から、経済的に厳しい家庭の高校生を対象に、モノレール通学費を全額負担する支援を始める。既にスタートしているバス通学費支援も拡充する。

 親の経済力によらず、子どもが安心して教育を受けるために、必要な施策である。動きのさらなる広がりを期待したい。

 モノレール無料化は、住民税所得割非課税世帯や、所得の低いひとり親家庭に支給される児童扶養手当受給世帯などが対象。約400人ほどの利用を見込んでいる。

 「ひとり親家庭通学サポート実証事業」として2018年に始まったバス通学費支援は、その対象に住民税所得割非課税世帯を加える。内容もこれまでの定期券半額補助から無料化へと切り替える。バス通学する高校生の4割ほどに当たる約5700人の利用が見込まれている。

 通学費問題を可視化したのは、経済状況が進路や生活にどう影響しているかを調べた16年の県高校生調査だ。

 調査によると1カ月当たりの交通費は5千円以上が全体の約32%、1万円以上が約15%。登下校時の交通手段で最も多かったのは「家族による送迎」で、その最大の理由が「交通費削減」だった。

 長距離を徒歩や自転車で通学する生徒も少なくない。定期券を購入する現金が準備できない家庭もある。

 その後のひとり親家庭通学サポート実証事業の成果といえるだろう。19年に実施した2回目の高校生調査では、困窮層のひとり親世帯でバス通学定期券の利用が40%を超え、10ポイント以上も伸びた。

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 経済的困難の度合いが高い家庭の子どもへの支援を優先することに異論はない。とはいえ、支援対象が限られていることへの懸念は残る。

 19年の高校生調査の自由記述欄に次のようなコメントがあった。

 「非課税世帯やひとり親でなくても生活に苦労している家庭はたくさんある。現に私がそう。修学旅行に行きたかったが、行かない選択をした。全員無料が厳しいのなら、半額という手もある」

 困っているのに所得制限をわずかに上回ったため、支援が受けられないというケースも多いのではないか。

 玉城デニー知事の知事選での主要政策の一つが「中学生・高校生のバス通学無料化」だ。

 まだ実現していない中学生を含め、支援の拡大が求められる。

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 新型コロナウイルスによる家計への影響も注視したい。

 児童扶養手当などは前年の所得で決まるため、コロナ禍で生じる「新たな貧困」にすぐには対応できない。時差登校によって親の送迎が難しくなるなど、これまでになかった負担も生じ始めている。

 県教育庁の調査で「通学補助があったら、進学する高校の選択肢が広がった」と半数もの生徒が答えている。

 日本は諸外国に比べ、教育への公的支出が少ない。経済的な理由で進路選択が左右されないよう、高校生まで児童手当を広げるなどの議論も加速すべきだ。