第11管区海上保安本部は25日、沖縄県の石垣島東方海上で22日から行方不明となっている八重山漁協所属のはえ縄漁船「博丸」(7.3トン)の乗組員4人のうち、依然不明となっている60代の日本人船長ら男性3人の捜索を続けたが発見に至らなかった。飲まず食わずの状態で生存にかかわるとされる発生から72時間が経過する中で、24時間態勢の捜索が続いている。

台風8号接近時の風向き

 11管区によると25日の捜索は、船体とともに乗組員1人が24日に見つかった下地島(宮古島市)近海を重点的に実施した。石垣、宮古島海上保安部の巡視船のほか、那覇航空基地から航空機も出動させている。

 海保関係者によると、船体が見つかったポイントは潮の流れなどから漂流方向を予測した対象エリアに含まれていた。現場は台風の影響で南西の風が吹いていた。「船体が見つかったということは当然その近辺に流れ着いている可能性も十分ある」と話す。

 11管によると救助された10代のインドネシア人の男性乗組員は「雨水を飲んで過ごした」と話している。

 八重山漁協も漁船19隻を出して組合員ら計40人態勢で捜索。石垣島東の沖合から流された方向へ並んで捜索し、出港から約10時間後の午後5時ごろ宮古島の漁港に到着した。同漁協の伊良部幸吉専務は「海や空から捜してもらった。明日も捜索する」と話した。

◆水温30度

 沖縄気象台によると行方不明となった現場海域の水温は約30度。一般社団法人水難学会理事の安倍淳氏は、水温が低いと体の熱が奪われるため「表層の海水温が30度というのはせめてもの救い。一般的な生存率として72時間の経過は大きなヤマ場だが生きている可能性は十分ある」と話す。

 ただ、心配すべきはうねりによって起きる“波酔い”だという。「遭難当時の状況からすれば、周期の長いうねりの中で波酔いを起こした可能性はあり得る」。気分が悪くなり嘔吐(おうと)すればその分の水分が失われ、脱水症状を早めかねない、と指摘する。

 さらに、海上で何かにつかまっているかどうか、複数人で漂流しているかも生存率に大きく影響するという。

 安倍氏は「漂流中は体力のほか気力も大事。複数で浮いていれば孤独や絶望感は和らぐ」としている。