もし運命の糸があるのなら、どんな困難や距離をものともせず、つながるべき人をめぐり逢(あ)わせてくれるのだろうか。

「糸」

 平成元年生まれの中学生、高橋漣と園田葵は互いに引かれ合いながらも、境遇によって引き裂かれる。大人になって再会するも、タイミングのいたずらでまたも退け合う。

 平成の31年間をまたぎながら、北海道から東京、沖縄、シンガポールへと目まぐるしく変わる局面の中、2人の運命は激しく揺れ動く。

 結ばれそうで、かなわないもどかしさ。「運命の糸は何かにつながる」「生きていれば」-。せりふの数々が糸のはかなさと強さを感じさせる。

 いったん離れても強く引き寄せ合う、男女の姿が切ない。奇跡を信じる人も、そうでない人も、ひた向きに生きる姿に心を打たれるはず。鑑賞後もしばらく、中島みゆきの歌が心を巡っていた。(学芸部・天久仁)

◇シネマQ、ライカム、サザンで上映中