社説

社説[「緊急事態」延長]解除を見据え戦略示せ

2020年8月30日 08:00

 新型コロナウイルス感染症を巡り、玉城デニー知事は、県が独自に発令した「緊急事態宣言」の期間を9月5日まで延長すると発表した。今月29日までの予定だったが1週間延びることになる。

 県内の新規感染者数は、いまだ20~40人台で推移している。直近1週間の人口10万人当たり新規感染者数も全国最多の状況が続く。

 高齢者を中心に死亡報告が相次ぎ、今月だけで19人に上る。重症や中等症の患者もまだ多く、医療体制は逼迫(ひっぱく)したままだ。緊急事態宣言の再延長はやむを得ない面はあるが、県民の負担や不安を考えると同時に出口戦略を示す必要がある。

 県は延長した1週間を「警戒監視期間」と位置付け、宣言解除を見極める期間としている。県内各地へ広がった流行を沈静化できるかどうかの大事な時期となる。

 気を付けなければならないのは31日からの旧盆の過ごし方である。

 旧盆は、子どもからお年寄りまで親族が集まったり、方々の親戚宅を回ったり、県民にとって大切な行事だ。しかし、この世代間交流が感染を広げかねない。

 玉城知事は「会うのを控えてもらい、少人数でお願いしたい」と県民に理解を求める。残念だが、今年の旧盆は互いに接触する機会をできるだけ絞り、それぞれのやり方で先祖を迎えたい。

 警戒レベルは4段階のうち最上位の「感染まん延期」から1段階下の「感染流行期」に引き下げられたが、新生活様式を徹底したい。

■    ■

 長丁場となるのが確実な新型コロナ対策。何が必要か。

 県内での「第2波」は、県外からウイルスが移入し、夜の街でクラスター(感染者集団)が発生して広がり、家庭や会食を通し県民に流行した。

 県の見立てを上回るペースで感染が急拡大し、療養用ホテルが確保できず混乱したり、看護師が足りなくなり県外へ派遣を求めたりした。こうした反省を踏まえ、軽症者らが自宅療養せずすむようホテルを確保するなど第3波に備えるべきだ。

 県は、PCR検査の協力医療機関を増やし、コールセンターから紹介する流れを確立する方針を示した。無症状の濃厚接触者への「全員検査」も再開するという。

 国も、インフルエンザとの同時流行に備えた対策を公表し、感染拡大地域では、医療機関や高齢者施設の関係者全員に一斉・定期検査を行うことが示された。

 国と県が連携し、それぞれ早めの運用を求めたい。

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 感染対策と共に必要なのは大きく落ち込んだ経済の再生だ。特に裾野の広い観光業への支援が欠かせない。

 まずは空港での水際対策の実効性をさらに高めるべきだ。県民向けの宿泊割引キャンペーンの再実施など、あらゆる対策を取ってほしい。

 コロナ後の経済回復には時間がかかると見られ、県には沖縄観光をどう立て直すのかが問われている。インバウンドに代わり得るものを含め、中長期的なビジョンを具体的に示してもらいたい。

2020・8・30 沖縄タイムス

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