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「工賃払えなくなる」障がい者の職場、コロナ禍の苦境と活路

2020年9月3日 08:03

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、障がい者の職場が苦境にさらされている。県内の就労支援施設では観光関係の請け負い業務が激減し、売り上げや利用者の工賃に影響が出ると懸念されている。一方、巣ごもり需要の高まりで、業績のいいスーパーや日用品店への新しい就職先を模索する動きもある。(政経部・又吉朝香)

「レンタカー会社からチラシの仕分け作業の発注もなくなった。ここにある分は全て処分しないといけない」と肩を落とす社会福祉法人そてつの会盛島光司施設長=8月、那覇市

 「この状況が続けば、利用者の工賃が支払えなくなる」。那覇市の社会福祉法人そてつの会の盛島光司施設長は不安な表情を見せた。

 100人の利用者が、飛行機の搭乗客が使うイヤホンの消毒作業や土産品の箱詰め作業などを請け負っていたが、コロナの影響で業者からの発注がピタリと止まった。この状況が続けば、年間1千万円の売り上げがなくなってしまう。

 利用者は障がい者年金として支給される毎月6万円と、施設から支給される工賃の約3万円で生活している。盛島施設長は「本年度までは持続化給付金やこれまでの積み立てを削って工賃を支払えるが、その後の支払いは厳しい」という。国がコロナ対策に多額の予算を費やす中、障がい者福祉の予算にしわ寄せが出ないかも心配だ。

 障がい者の就労をサポートする特定非営利活動法人ミラソル会では毎年20~30人を一般就労につなげているが、ホテルの清掃業に就職した3人は4月以降、雇い止めに遭った。

 4月にレンタカー会社に就職予定だった利用者は、コロナの影響で就職が7月に先延ばしになった例も。ある利用者は「仕事が決まるか分からない状況で待っているよりは、確実に働ける所がいい」と別の業種で働くことを選んだ。

 一方、就労継続支援A型事業所「ハートランドおきなわ」は、コープおきなわで販売するパンを製造している。巣ごもり需要の影響で売れ行きは好調という。サービス管理責任者の伊佐千代美さんは「みんなで協力しながら楽しく働いている。彼らは人手不足という課題に大きく貢献している」と目を細めた。

 ミラソル会の葛原明美センター長は「これまで利用者の就職先を観光業に頼っている部分もあった。アフターコロナの社会状況を予測しながら、スーパーや日用品店など、新規就職先を開拓していかなくては」と語った。

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