障がいのある子どもたちが通う本島中南部の特別支援学校3校で、在籍者数が増え続け過密化が深刻となっている。教室が足りず、間仕切りをして分割したり、視聴覚室などの特別教室を転用したりして急場をしのいでいる。

 また、公立小中学校に設けられた特別支援学級に通う子どもも増えている。特に「自閉症・情緒障がい特別支援学級」(情緒学級)の児童生徒は10年間で12・5倍に急増し、増加率は全国で突出している。

 それぞれの増加の背景には何があるのか。子どもたちの学びは保障されているのか。丁寧に見ていく必要がある。

 特別支援学校で過密化が顕著なのは美咲特別支援学校(沖縄市)、島尻特別支援学校(八重瀬町)、大平特別支援学校(浦添市)の3校。最も深刻な美咲では、適正規模(245人以内)の1・5倍の375人を受け入れている。

 少子化で県内でも小中高校生全体の数は減少傾向にある。にもかかわらず、特別支援学校の在籍者は右肩上がりに増えている。2019年度は計2388人。特別支援教育が始まった07年度に比べ3割余り増加した。

 背景にあるのは、子どもの特性に合わせた専門的な教育を求める保護者の増加とみられる。生活訓練や就労支援への期待も大きいようだ。

 周辺の人口増も一因という。地域の小中学校に設けられた特別支援学級の在籍者が増え、中学卒業後に特別支援学校の高等部を希望する生徒も多い。

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 しかし、このまま過密状態が続けば教育の質の低下が懸念される。子どもの学びへの意欲が減退しないか心配だ。

 島尻と大平に関しては、那覇市に予定されている那覇みらい支援学校が22年に開校すれば緩和が見込まれる。

 ただ、中部地域では学校新設の具体的な計画はない。県教育庁は「地区全体の中長期的な児童生徒数の推移を見据えながら検討したい」としているが、「もう限界に近い」という学校関係者のSOSを重く受け止めてほしい。

 国際的な潮流は、障がい児と健常児が共に学ぶ「インクルーシブ教育」だ。共生社会の理念を広げる役割も期待され、模索が続く。

 その中で特別支援学校を選択する保護者が多いという事実は何を意味するのか。普通学校で受け入れ態勢が整っていないから、ととらえることもできる。

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 公立小中学校で増えている情緒学級も、子どもたちの適切な支援につながっているか疑わしい事例がある、と専門家は指摘する。

 落ち着きのなさや周囲とのトラブルから発達障がいと判断されても、実は虐待や貧困、いじめなど家庭や学校の環境に起因する一時的な不調の場合があるからだ。

 通常学級で対応しづらい、と学校側の強い意向が働き支援学級に入れることがあれば特性に応じた教育どころか子どもの学びを奪ってしまう。

 誰のための学びか、何を目指すのか、特別支援教育の在り方を含めた議論が必要だ。