軽率というか、ずさんの極みというか、あぜんとするばかりである。

 有機フッ素化合物PFOS(ピーホス)を含む泡消火剤が、米軍普天間飛行場から基地の外に大量に流出したのは4月10日のことである。

 白い泡は排水溝から基地の外の川に流れ、住宅地に飛び散り、こども園の窓や遊具にも付着した。基地の外に流出した量は約14万3千リットル(ドラム缶715本分)に達する。

 住民を不安に陥れたあの環境汚染事故は、格納庫から約3~6メートル離れた場所で実施したバーベキューが原因だったことが、米軍、日本政府の発表で明らかになった。

 新型コロナウイルス対策の一環として格納庫内に隔離されていた海兵隊員らが「士気高揚」のため、バーベキューを実施。器材に着火した直後、格納庫の消火システムが熱に反応して作動した。

 数分後に到着した初動対応チームも、その場に居合わせた隊員も、消火システムの一時停止ボタンの使用法を知らなかった。それこそが問題だ。

 普天間飛行場では昨年12月にも泡消火剤の流出事故が起きている。通常、屋外でしか使用が許されない大型の可搬式発電機を上官の許可なく使用、排気の熱で消火システムが作動した、というものだ。 停止ボタンのある部屋の鍵を持っておらず、15分以上、泡の散布を止められなかった。

 事故の教訓が生かされず、防ぐことができたはずの事故を再び起こしてしまった、というほかない。

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 調査報告そのものにも問題が多い。

 発がん性が疑われるPFOSは、健康や生態系に悪影響を及ぼすおそれがあることから、2009年、国際条約で製造・使用が原則禁止され、その翌年、国内でも禁じられた。

 米軍はPFOSを含まない消火剤への転換を言い続けてきたが、それが依然として使われていることが明らかになったのである。

 調査報告は、いつまでに代替消火剤への転換を実現するのか、そのことには一切触れていない。

 調査報告書には、米軍、政府、県3者が、基地内の格納庫や排水路周辺から採取した土壌や水の分析結果が紹介されている。

 その中身は、有機フッ素化合物のPFOSやPFOA(ピーホア)の含有量の数字を並べただけ。その数字が何を意味するかは米軍も政府もまともに説明していない。

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 政府は、環境補足協定に基づく初めての基地内立ち入り調査が実現したことを「大きな成果」だと宣伝した。

 立ち入り調査そのものにさまざまな制約があり、その結果、住民の不安解消にはほど遠い内容の乏しい報告書になってしまった。

 米軍はあらためて記者会見を開き、丁寧に疑問に答えるべきである。汚染者の自覚を持ち、住民の不安解消に本気になって取り組むことだ。

 その自覚がなければ、責任意識は育たず、緊張感が緩み続け、事故の再発を招きかねない。