尖閣諸島沖で中国漁船が第11管区海上保安本部の巡視船に衝突した事件から、7日で10年。この間、尖閣諸島の領有権主張を強める中国公船の領海侵入はやまず、近年は沖縄県内の漁船を追尾する事案も多発。トラブルを懸念して漁をやめる漁業者もおり、尖閣周辺海域を漁場とするマチ類の漁獲量は減少している。一方、日本政府は中台連携をけん制するため日台漁業協定を締結したが、県内漁業者は「日本側に不利な内容となっている」と問題視。粘り強く改定を求めている。(政経部・又吉朝香)

領海内で操業する漁師の漁船に、400メートル近くまで接近する中国公船を、漁師が撮影した。奥は尖閣諸島の大正島=8月下旬、尖閣衝突周辺海域

県内マチ類の漁獲量

領海内で操業する漁師の漁船に、400メートル近くまで接近する中国公船を、漁師が撮影した。奥は尖閣諸島の大正島=8月下旬、尖閣衝突周辺海域 県内マチ類の漁獲量

■好漁場消失

 「事実上、漁場の大半が消失した」。マチ類の深海一本釣りをしている、漁師の丸山文博さん(55)=糸満市=はこう訴える。尖閣海域はマチ類やカツオの好漁場だが、領海内にもかかわらず中国公船が航行するため、落ち着いて漁ができていない。十数年前は1日に1トン以上捕れる日もあったが、現在の水揚げは500キロと半分以下になった。

 昨年まで領海付近にいる中国公船は3隻だったが、今年の4月には4隻に増えたという。漁場に近づきたくても海保から「中国公船が近づいてきているので、近くの島に逃げてください」と連絡が入り、避難せざるを得ないこともある。

■不平等協定

 衝突事件を機に日台が2013年に締結した漁業協定(取り決め)では、日本の排他的経済水域(EEZ)での台湾漁船の操業を容認。はえ縄船同士の距離を長く取って漁をする日本と、距離が短い台湾との漁法の違いからはえ縄が絡まったり、切断したりするトラブルも相次いだ。

 はえ縄船でマグロ漁をしている那覇地区漁業協同組合の山内得信組合長によると、台湾との間でもトラブルを避けるため操業を自粛せざるを得ない状況が続き、漁獲量も減少傾向にあるという。

 山内組合長は「尖閣衝突の問題や不平等な協定がなければ、県内の水産業はより発展できたはずだ。行政はもっと県内漁業者の声を尊重してほしい」と訴える。

 県水産課の担当者は「県内の漁業者が自由な操業ができるような環境を求めていく」と述べるにとどめた。