「特別警報級の勢力」「記録的な暴風」-。そう見込まれていた台風10号は予想よりも発達しないまま、沖縄地方から遠ざかっていった。台風10号が発達する要因とされていた海面水温が下がったことなどが理由とみられている。直前に接近した台風9号や8号が海水をかき回し、海面水温の上昇を抑えた可能性があるという。(社会部・光墨祥吾)

台風8・9・10号の進路図

平年と比べた6日の海面水温解析図。東シナ海側で平年より低い水温を示している=気象庁ホームページより

台風8・9・10号の進路図 平年と比べた6日の海面水温解析図。東シナ海側で平年より低い水温を示している=気象庁ホームページより

 4日午前9時点の予報では、台風10号は6日午前9時に中心気圧915ヘクトパスカル、中心付近の最大風速55メートル、最大瞬間風速80メートルとされた。大東島地方は6日に最大風速50~60メートル、最大瞬間風速70~85メートルになるとの予想だった。猛烈な勢力で接近するとみられていたが、そこまで発達することはなく、特別警報の発表もなかった。

 気象台はその理由について、台風9号や8号と海面水温の関係が背景にあるとみる。

 海面水温が上がると水蒸気の量が増えるため、台風は水蒸気をエネルギーにして発達していく。気象庁の海面水温のデータを見ると2日時点では沖縄近海で平年よりも高い水温を示す一方、大東島地方が暴風域に入った5~6日は平年よりも低くなっていた。

 この海面水温の低下が、台風10号の発達を抑えたとみられている。台風10号とは異なる進路で進んだ台風9号と8号だが、二つの台風の暴風が海水をかき回し、冷たい海水を持ち上げる形で海面水温を下げた可能性がある。また気象台は台風10号が上空の乾燥した空気を取り込んだことも、発達しなかった理由とみている。

 台風通過で一時的に海面水温が下がっても、一定の時間経過とともに通常の水温に戻るとされ、気象台は今後発生する台風についても十分に注意するよう呼び掛けている。